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8/15

何を企んでいる、と睨みつけてくる天司長サマにはて、と小首を傾げた。
 手には花を抱えて、色鮮やかなミニブーケに鼻先を寄せる。色味も然ることながら、香りも厳選した甲斐があった。ふふ、と笑えば、向かい側の相手の眼光がより一層剣呑としたものになったことが肌を通じてわかる。突き刺さるようなそれに、ぞくぞくと得も言われぬ感覚が背筋をかけた。

「はは、そんな目でみるなよサンディ。イッちまいそうだ」
「黙れベリアル。あぁいや、余計なことを口にするな。俺の問いに答えろ」
「早漏は嫌われるぜ?まぁ、俺はそれでも楽しめるけど」
「楽しむ必要はない。答えろ、ベリアル、貴様はあの女について何を企んでいる」

 にべもなく切り捨てる相手に、肩を竦めて花びらを弄る。んん?棘がまだついてるじゃないか。これじゃあの手が傷ついてしまうかもしれない。白い指先に赤い血が浮かぶのはひどく魅力的だが、それであの人が傷ついては意味がない。棘を取り除いて捨てながら相変わらず険しい顔をしているサンダルフォンに流し目をくれてやり、心外だなぁ、とにやりと口元を歪めた。

「なあんにも企んでやしないさ。ただあの人の傍に侍りたい。あわよくばあの足で踏まれたい、罵られたい。あぁ、想像だけで達しそうだ。いいと思わないか?あの目で見下されて、あの唇で罵られて、あの足で踏みつけられる。最高の瞬間じゃないか!」
「変態が」
「――お前だって、あの人に見つめられたいだろう?」

 隙間を縫うように、囁く。その瞬間、息を止めた喉仏の動きすら見逃さず、こつこつ、と靴音を響かせた。びくりと跳ねた肩にするりと手を乗せ、見開いた目で硬直する耳元に唇を寄せる。
 あぁ、あぁ。なんて愚かで未熟で甘えたな天司長。本当の気持ちに蓋をして、目を閉じて耳を塞いで、懸命に抗う姿は実に滑稽だ。知っているとも。わかっているとも。――お前たちが決してそれを認められないことを。ふぅ、と耳朶に息を吹き込めば、びくびくと肩が震える。それでも振り払わないのは、そういうことだ。

「あの人の瞳は美しいだろう?指先は蠱惑的だろう?唇は甘そうだろう?あの髪に触れたくて、あの声で名前を呼ばれたい」
「・・・れ」
「あの夜色の瞳に見つめられたら。あの赤い唇で囁かれたら。あの白い指先で撫でられたら」
「・・、まれ」
「――――至上の快感を得られると、思わないか?」
「黙れ!!!」

 振り払われた腕を避け、息を荒げて奥歯を噛み締める様子にくつくつと喉奥が鳴る。殺意の籠った眼差しに、その奥に揺らぐ欲望に、中心が熱く疼いた。あぁ、本当に、イイ顔をしてくれる。してくれるけれど――お前にはやらないさ。

「貴様が!!貴様がなんの打算も計算もなく、あの女の言いなりになっていると、それを信じろというのか!?狡知の天司たるお前の言うことを、俺に信じろと!!」
「それを決めるのはお前さ。さぁて、名残惜しいが戯れもおしまいだ、サンダルフォン。俺は行くところがあるんでね」
「っ待て、ベリアル!!」

 羽を広げて飛べば、追いすがるような声にひらりと手を振る。もっと遊んでいたいけれど、花が枯れては意味がない。蒼い空を飛びながら、散らないように抱きかかえてふっと微笑みを浮かべた。花びらに口づけて、うっとりと呟く。

「笑って、女王様」





つづきからレス!






8/15 一千夜主とベリアルとサンダルフォンの長文テロの方

長文テロ上等です!!毎度ありがとうございますー!
そうそう。べりあるさんは確かファーさんを慕っていた?そうなのでその辺りも案外下僕スキルが高い由縁なのかなぁと思います。ファーさん研究者で自分のことに無頓着?そうなので、案外一番お世話してたのがべりあるさんではないのかなぁと。尽くすことに抵抗がなさそうなのがべりあるさん。他はなんか・・・ちょっと違うな・・・?って気がしています。
製作者への無償の奉仕が基本がハイスペックなものだから苦も無くできてそうな辺りが変態のくせに・・・ってなるべりあるさんのズルイところ。
やばい。一千夜主に一声かけられただけでテンション爆上げしてるべりあるさんが猫属性じゃなくて犬属性に見えるww通常は気まぐれな猫属性なのに一千夜主相手だけは完全に犬属性ですね。お腹見せて尻尾爆振りしてる姿が目に浮かぶ・・・。
そう、そうなんですよ。一千夜主的には別に対して気にしてないし興味もそこまであるわけじゃないけどなんとなく聞いただけっていうこのスタンス!そしてそれに一喜一憂する変態、じゃなくてべりあるさん!荒ぶる内心を隠しつつでも多分隠しきれない何かを溢れさせてケーキをリザーブしてる。生温い目で見られるまでがワンセット!
一千夜主に対してはファーさんとは別ベクトルでものすごい執着、崇拝心に似たものを抱えて侍りたい欲求が留まらないと思うのです。そういう感情を基本的に持っていないはずで、持っていないはずのものを芽生えさせてしまった戸惑いとか不信感とかでもそれ以上の陶酔感とかを持て余しながら離れられずにどんどん魅了されていくという。
長い生の中で考えられなかったし考えることもなかったものを抱えて振り回されてそれでも満たされて、だけど満たされないという葛藤の中に気が狂いそうになってるのかもしれません。なまじああいう存在なだけに、一千夜主の存在って爆弾並にあれなものですね・・・。べりあるさん可哀想。
な、なんて乙女ゲーム的な台詞・・・!やだ言わせたい、すごい言いそう!これ確実に敵側かトリックスター的な隠しキャラポジションじゃないですか。いや実際そうなんですけど。何も間違いなくそのポジションなんですけど。
しかしこの乙女ゲームすでに攻略済というeasyモードすぎて・・・。好感度が初っ端から高すぎてなんかちょっとするだけで爆上がりするやつですよ。むしろべりあるさんが一千夜主攻略しないといけないやつ。
正規主人公勢が必死に攻略する中なんの苦も無く侍らせてるというか・・むしろそこから奪い取るの無理ゲー?みたいな乙女ゲームですね。敵のあれ落としたいのに落とせない!!みたいな。
べりあるさんの選択肢なら正規主人公サイドが

「無視する」↑
「殴る」↑
「撫でる」↓↓

っていう好感度設定が、一千夜主だと

「無視する」↑
「殴る」↑↑
「撫でる」↑↑↑

っていう全部好感度上がる仕様。やだ、狡知の堕天司ちょろすぎ・・・?というかべりあるさんが全てをご褒美にしてくるのすごい・・・。でも無視だけはちょっとさびしい、と思ってるかもしれない。基本構って!!って感じがします。
あーほんとその台詞をうっとりとしながらもやや頬を染めてでも切なそうに言って欲しいものです。でも一千夜主は聞くだけで「さぁ、どうかしら」って聞き流すんだろうなぁ。微笑んで、認めて受け入れても応えてはくれない距離感に泣きそうになってたらいい。でも離れられない絶望を甘く感じて縋っていれば、それはそれで幸せかもしれませんね。いるだけでいい、という崇拝がそこにはあるから。ある意味堕天司を無償の愛の存在に変えて、天司を堕落させるかもしれない爆弾な女王様だな・・・。
今回も素敵なコメントありがとうございましたーーー!!!



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