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前世は人間で現世は妖怪で。しかもなんか結構強いらしくて、っていうかなんだろうな犬の妖怪の一族?の結構上ポジションにいちゃったりなんかして、当初はやってられっかー!な感じだったんだけど云百年と生きちゃうと最早達観するしかないっていうか、うん。どうでもよくなるよねそこのところ。
別に他の妖怪みたく人間ごときが!なんて思いませんよ元人間でしたもの。かといって人間大好きーみたいな感じでもないのはやっぱり妖怪だからだろうか。
でもほら私のポジションがなんか一族の姫?っぽいからさ、表立って人間好きよーなんていうにも憚られるので結局無関心ってのもあるんだけど。まぁぶっちゃけもうどうでもいいんだよ長く生き過ぎちゃうと色んなものがどうでもよくなるんだねー。あら不思議発見。
そんな感じで妖怪ライフを過ごしてたのよ。一族のお姫様なもんだったから色々外面もよくしてさー大妖怪っぽい風格なんかも出して見てさー。そうやって猫被り続けてやっぱり云百年。
なんだかんだ旦那もできて(政略結婚のよーな押しに負けたよーな)子供も設けて(可愛がりたかったんだけど長年の猫のせいで無理そうだったので人目がないところで愛でることけってーい!)まぁこう、身内にも本来の自分ってものを出せないまま流されてきたらあれまびっくり。旦那が浮気しやがったよ別にいいんだけど。
なんてかねー。さほど好きなわけではないっていうか、うん。好き好き大好き結婚して!な感じじゃなかったから超ドライなんだよねー。しかも時代にしても種族にしても一夫多妻当然だし?
だから別にねー他所に女できようが子供こさえようがいいんだよ別に。むしろ旦那にまで猫かぶり続けてきた結果、さほど熱くなかったものが余計冷めてしまったから無理もないっていうかむしろ熱愛できる人探しておいで?なぐらいだったし。
まぁ一言言うならお前愛人にするにしてももちっと人選べよと思わないでもないんだよ個人の趣味だけどさ。いや私個人に偏見は全くないのよ?だって元以下省略。でもさーほら周りがさ、うるさいわけよあんた一国の王だし大妖怪だし。別にあんた自身の価値が下がってもそれはそれで自業自得なんでいいけどそのとばっちりがこっちにくるのが果てしなくうざいっていうか、まぁ全部無視してるからいいんだけど。
でもそっかー。人間の女の子かー。しかもお姫様かー。あれか儚げ美人に飢えてたのか?いやでもなーそっかー人間のねー女の子ねー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは会いに行かなければ!!
「というわけで旦那の目を盗んで会いにきてみました十六夜ちゃん!」
「え?」
「初めましてー。見かけ的にはつり合ってるようで実年齢から行くとこのロリコンが!!という罵り文句も間違いじゃない、そんなやっぱりあいつ面食いかよ☆と疑念を確信に変えた犬の大妖怪の一応正妻なんかしちゃってるけどぶっちゃけ仮面夫婦に近い奥さんの狗姫でっす☆よろしく!」
「え?正妻?妖怪?ろり・・・?」
「あ、ロリコンについては十六夜ちゃんは知らなくていいのよー。うふふそれにしてもまじ美人可愛いこりゃもうあれもそりゃベタ惚れになるわいっやーん私が囲いたいー!」
あ、一応私そっちの気はないんでこれは一種の比喩ですのでそこんところお間違いなく!
長年の猫をかなぐり捨て、ひっさしぶりというか彼是数えるのも馬鹿らしいぐらいぶりに素(おかげで出せなかったテンションがここにきてマックスに)を出しながらきょとーんとして展開についていけてない十六夜ちゃんの頬を両手で挟んでうっとりと見入る。自分の顔に見惚れてたらナルだしー息子の顔はぶっちゃけ自分にも旦那にも似すぎてて飽きたしー。どんだけ遺伝子強いのよさすが大妖怪。しかもあいつ基本無表情だし無口だし我が息子ながら何考えてんだかわからないしファザコンだしママンの面目ないわよちっさい頃は人目を忍んで可愛がったのにそれも忘れたような顔しやがって!いいさいいさ今後未来で目一杯からかって遊び倒してやるわさー!
「ねぇねぇ十六夜ちゃん。私のお友達になってちょうだい?今ならあのお犬様の過去とか失敗談とか恥ずかしい話とか赤裸々物語を根掘り葉掘り出血大サービスでなんでも話しちゃうからさ!」
「あ、あの・・・?」
「私さーお友達ってのあんまりいなくてさー。ほらやっぱり立場とか長年のつもり積ったあれこれとかさ?色々あって寂しい人生いや妖生?だったのよー。そしたらここで美人の人間の娘っこと御近づきになれるチャンス到来でしょ?いやーあいつもいいことしてくれたわマジで。これは逃しちゃならんと思って駆けつけたのですよむしろ未来に期待大☆」
「わ、私は・・・」
「あ、別に正妻愛人妾二股とか私どうでもいいからさ!むしろのしつけてあげるけど・・あ、離縁状叩きつけてこようか?そしたらあいつも遠慮なく十六夜ちゃんとラブラブしてられるし十六夜ちゃんも幸せよね!大丈夫大丈夫こっちのことはこっちに任せて君はなんの心配もしなくていいのさ。ねね、これいい案だとは思わない?」
「え、えぇ?!いえ、でも、そんな、あの方の立場もございますし・・・」
「あーそっかー。あんなのでも一国の王だもんねー。んーじゃぁまぁそれはしないけど、十六夜ちゃんは私と仲良くするのは嫌ー?」
頬を包んでいた手をさりげに手を握ることにチェンジしながら、こてりと首を傾げてうるうるお目目を潤ませて見る。案の定十六夜ちゃんはぎょっとしておろおろ慌ててそんなことは!と鈴みたいな声を震わせた。うっは声もいいね十六夜ちゃん!
「で、ですがあなた様の方が私のようなものといいのですか?わ、私は人間で、それに・・・あなたの旦那さまと・・・」
「十六夜ちゃーん?私の話聞いてた?」
あっまーい!ホットケーキにメープルシロップとアイスとチョコレートソースぶっかけたぐらいにあっまーい!
ほっとけーき?と小首を傾げる姿はメロキュンなぐらい可愛いけど今までの私のマシンガントークはなんだったのさ!言っておきますけどね!
「ぶっちゃけ奴と私の間に義務以上の感情なんて小指の爪程度しかないぐらいのうっすーい代物なの!だから別に十六夜ちゃんとどーこーなっても私は気にならない!むしろ奴が羨ましい!こんな美人捕まえやがって!」
「私などよりもあなた様の方がお美しいと思いますが・・・」
「ありがと!でもそこはそれ。個人的に十六夜ちゃんの儚げ美人顔は超タイプ!まぁ結局何が言いたいかっていうと、あいつも十六夜ちゃんも幸せなら私もそれで幸せだから気にしないでねーってことなのよ。そんなドロドロ愛憎劇を繰り広げるつもりも予定もないからさ。むしろそんなことよりもあいつが嫉妬するぐらいの女の友情を築きたいのです。ほんと友情に飢えてるの愛情より友情に飢えてるの」
むしろ素を出せる存在が皆無なのでここを捌け口にしたいという打算もありつつ美人さんと仲良くなりたいっていう企みもありつつ純粋に仲良くなりたいって本音も交えつつ!
ここまで素を暴露した相手を逃してたまるかー!と、ぐっと彼女の手を握る手に、力を篭めた。
気がついたら生まれ変わっててしかも妖怪で、立場的にもなんか妖怪のくせに上位で、ってこれなんていうフラグ?な主人公のご母堂様成り代わり。
素はああいう感じ。猫被ってるときは原作のご母堂様な感じ。周りは皆主人公の素を知らない。
長年被ってきた猫のせいで友人とかそういうのに恵まれなくて元人間としてはそれっきっつい!と過ごしてたらうっかり美人なしかも旦那と付き合うぐらいだから妖怪に対しても免疫あり!これはイケル!!と思ったので突撃かまして十六夜さんの親友ポジに丸々納まった主人公ってのが書きたかった。
ポイントは旦那(犬父)さえも主人公の素を知らないこと。主人公も見せる気がさらさらなかった。被り続けてきた猫は伊達ではありませんのよおほほほほほほ。
夫婦仲は・・・まぁ、主人公が語る感じです。結婚の理由は政略結婚に近いんだけど一応旦那から申し込んできてます。旦那としては最初惚れて申し込んだんだけれども主人公があんまりにも「興味ないんで」って感じなので傷心と共に諦めを身につけ悪くないけど良くもないっていう関係になっちゃったのです。
ぶっちゃけていうと原因は主人公なので主人公が悪い。ちゃんと好きあってたら多分十六夜フラグはなかったはず。
その上でちゃんと気持ちの通じ合う十六夜ちゃんと出会ったのでまぁ当然の流れ。ちょっとは夢主が嫉妬するかなー?と思ったりもしたけどあははないねそんなこと!
逆に十六夜ちゃんのほうに主人公のフラグが傾きました。
犬一族(旦那息子含み)よりも十六夜ちゃん好きーな夢主。旦那の目を掻い潜って密会を続けて親交を深める嫁同士。旦那蚊帳の外。哀れ。
旦那が主人公の諸々を知るのは死ぬ間際だろうなぁ。冥土の土産に、とか。そんな感じで。
どっちかっていうか、旦那が一番可哀想なお話だと思います。
旦那も十六夜も死んだ後はきっと十六夜の忘れ形見を見守って偶に手助けしたりしながら主人公は過ごすんだろうなぁ。え?息子?あいつは一人で生きていけるから大丈夫だよ。
そして未来、息子が人間の娘っこを連れてきて「いやん可愛い!」ということで素とか出してしまってもいいと思います。ちなみに半妖の息子の嫁も可愛い!と滅茶苦茶可愛がればいいと思います。
ご母堂様は、人間の娘っこのハーレムを作る気なのかもしれません。・・・・結局犬一族はみんな人間好きなんだなぁ。
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