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テレビで事務所のカウントダウンライブの中継を眺めてからラインでとりあえずあけおめメールを各自に送り、適当な時間で就寝する。
本当はライブに行くという選択肢もあったんだけど、年末の怒涛の仕事納めにライブにまで行ってその後きっと徹夜コースになるだろうルートを選ぶには中身が年を取りすぎていたのだよ・・・。
もうちょっと見た目と中身が釣り合っていればなぁ、と思わなくもないが、まぁこれはこれで後日ゆっくり彼らを労うということで。中身としては年上なのでお年玉とかいるかな?と思ったけど見た目同年代なのでいらないな、とシビアな私がニッコリ微笑む。むしろまだ私は貰える年齢だわ。くれる相手いないけど。
くぁ、とあくびを零しながら布団の中に潜り込み、初日の出はどうしようかと思いながら眠りについた。
それから数時間。突然枕元で鳴り響く携帯の着信音に叩き起こされ、一瞬何が起こったのかわからないまま手探りで携帯を探し出して寝ぼけ眼で通話ボタンをスライドさせる。あやうくブチ切りそうになったが、まぁ出れたからよしとしよう。てか相手見てなかったけど誰だこんな時間に超迷惑。そう思いながら寝起きの掠れた声で語尾を跳ねあげる。
「はい。もしもし・・・」
『もしもし。日向だ。今大丈夫か?』
「・・・・あー日向さんですか・・・どうしました?」
大丈夫も何も寝てましたが何か?と言いたいところをぐっと堪えてちらっと時計に目をやりながら聞き返す。どういうつもりでこんな時間に電話してきやがりましたかこの野郎。
『思いっきり寝起きだなぁ。まぁいい。中村、今すぐ出てこれるか?』
「今すぐ?」
え、なにそれ嫌だな行きたくない・・・。寒いし眠いし面倒だなぁ、と思いながら訝しげに眉を寄せて疑問を表せば、電話口の向こうで日向さんの笑い声が聞こえた。
『折角だ。初日の出を拝みに行くぞ』
「・・・マジっすか」
楽しそうな声に、会話をしている内に眠気も薄れてきた私はのそのそ体を起こしながら、この人何言ってるの、という気持ちを込めてそう返す。マジだ、と返してくるそれにしばらく考え、はぁ、と軽いため息を零した。
「わかりました・・・ちょっと準備するんで、時間ください。どこ行けばいいんです?」
『エントランスにいるからそこに来い。時間もあんまりないから、至急で来いよ』
「はぁい」
さすがに上司及びお世話になった先生のお誘いを無碍にはできない。これが完全なる迷惑行為ならオコトワリー!だが、まぁ初日の出を見に行くぐらいはいいだろう。おめでたいことだし。
そうなると他のメンバーもいるだろうから賑やかなんだろうなぁ。カウントダウンライブのあとにテンション極まって突撃してきたんだろうか?つらつらと経緯を予測しながら、できるだけ時間をかけずに身支度を整え、駆け足で社員寮のエントランスまで降りると、そこにはライダースジャケットを羽織った私服姿の日向さんが待っていた。スーツ姿以外は何気に珍しい。いや決して私服を見たことがないわけではないんだが、基本スーツだからなぁ日向さんは。しかしイケメンは待っている姿でもイケメンですな!
「お待たせしました!・・・あれ?皆は?」
壁にもたりかかりながら携帯を弄っていた日向さんに声をかけるが、そこに他の見慣れたメンバーの姿が見えず首を傾げて視線を泳がせる。・・・あれ?てっきり皆いるのかと・・・現地集合か?
日向さんはぽちっとスマフォの電源を落とすと、預けていた壁から背中を放してすっと背筋を伸ばす。
「あいつらならまだ打上げ中だな。そのまま初詣に行くとか計画も練ってたから、今日はそのまま徹夜コースじゃないか?」
「へぇー・・・仕事に影響でないといいですけどね。あ、あけましておめでとうございます」
「明けましておめでとう。まぁそこら辺はあいつらもプロだからな、心配するほどのことじゃないだろう。ほら、行くぞ」
「あ、はい。・・・え?」
んん?あれ?どゆこと?さらっと流されたが、あれ?これ一ノ瀬君たちも交えてじゃないの?え?と疑問符を浮かべる私に構わず、さっさとエントランスから出ていく日向さんを慌てて追いかける。そして入口前に止めてあった大型バイクに、私はまさか、と目を大きく見開いた。
「・・・え?2人?」
「何してるんだ。早くヘルメットつけて後ろに乗れよ」
「いや、まさかの展開で驚いてるんですけど、え?2人で?」
跨ってバイクのエンジンをブルンブルンとふかしはじめた日向さんに戸惑いながら視線を向ける。その私にヘルメットを被って顔の下半分を隠した状態で、目だけをこっちに向けて日向さんはすっと目を細めた。
「とっておきの初日の出、拝ませてやるよ」
定員は一人だけだからな、と嘯いて笑った日向さんに、私ははぁ、となんともいえない相槌を返してヘルメットを被ることになった。・・・・とりあえず、バイクはめっちゃ寒かったです。
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