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「君をこの手で殺すことが、僕の愛の証」

 いっそ、その細い首を折ってしまおうか。僅かに俯いて晒されるうなじを見下ろしながら、片手で簡単になせてしまえるだろう甘やかな誘いに眩暈を覚える。それとも、小さな体に収まるその心臓を、この槍で穿ってしまおうか。今は具現化させていないが、思えば容易く収まる己が相棒の姿を思い浮かべて笑みを浮かべる。
 殺してしまおうか。自分以外を横に据えるこの少女を。自分以外に声をかける少女を。微笑む彼女を。触れあう彼女を。自分じゃない誰かと寄り添うぐらいならば、自分を最期にその目に映して、殺してしまおうか。
 どうせ、この戦争で、生き残るのは最後の一人だけ。他は、どう足掻いても死ぬしかないのなら。いつか、殺されるのならば。いつか、殺しあうのならば。今、ここで、誰かに、殺されてしまう前に。自分の手で、その命を、刈り取って、

「・・それも、いいな」
「え?」
「お前のサーヴァントが俺じゃないなら、そうする方が幸せかもしれないよなぁ」
「・・・は?」

 ランサー?ときょとんとした顔で、首を傾げる少女。愛しい女。焦がれた女。欲しくて欲しくて手放せなくて、確かに手に入れたはずなのに、すり抜けていった女。それを恋と呼ぶには深すぎて、愛と呼ぶには歪すぎて、執着と呼ぶにはあまりに甘くて。ただ欲しかった。ただ手放せなかった。愛していた。恋していた。その手足に鎖を絡めて、縛り付けてしまうぐらいには。あぁ、どうして彼女は堕ちてくれなかった。溺れてくれなかった。堕ちて溺れて腐って枯れて。どうして俺のものになってくれなかった。俺のものにしたのに、どうして。

「気になる野郎もいるしな。あんなのにやるぐらいなら、自分の手でやりたいよなぁ」

 黒いコートをきたあの男。正確に言えば、その男が連れているのだろうサーヴァント。姿は見たことはない。声も、形も、どんなサーヴァントかなど、何も知らない。けれどもわかる。わかってしまった。いや、気づいてしまった?
 姿は見えずとも伝わるその視線。あの男がいるとき。そしてこの少女がいるとき。感じるものは、己と同じだ。
 焦がれて焦がれて溺れて欲して縛り付けたい。それは自分のだと主張するかのような熱い視線。歪んだ、どろどろとした劣情熱情。こっちが、姿も見えないのにわかるぐらいなのだから、あちらだって気が付いているだろう。
 自分と、あいつは、同類だと。何の因果かは知らない。どうしてこの女なのかも知らない。それでも、確かに、欲している。そして、許せないでいる。自分じゃない存在を近くに置いている少女を。少女の傍らに在る存在を。
 だからきっと、あのサーヴァントも恐らく、自分と同じ考えに帰結するだろう。


 誰かにくれてやるぐらいなら、自分が全てを奪ってしまいたい。


 うっそりと笑みを浮かべれば、少女の瞳に脅えが浮かぶ。一歩下がった足に、心中が冷え込むのは逃げるなど許さないという己の独占欲故か。

「ランサー・・・ちょっと、目が、怖いん、ですけど・・?」
「あぁ・・・なぁ、嬢ちゃん」
「え?」
「あんまり無防備すぎると、食われちまうぜ?」
「食われ・・・?」

 さらりと、細い首筋に手を添える。0と1で構成された架空の体であるはずなのに、とくりと打つ鼓動の音にうっとりと目を細めた。頸動脈をほんの少しばかり力をこめて押さえつけて、どくどくと流れる血潮の動きを直に確かめる。伝わる体温の暖かさに、この喉を噛み切るのもいいかもしれない、とぼんやりと考えた。暖かい血潮を感じて、噛み切った肉を食んで。己の内に取り込むのも、酷くあまやかな妄想だ。
 空想を張り巡らしながら、首筋に手を添えられて、動きを止めた少女の喉を包むように、指を回して、

「マスター」
「ランサー、帰るわよ」

 かけられた声に、その動きを止める。力を込める寸前だった手を止めて、ひどく強張った顔で硬直する少女を見下ろして、小さく気づかれない程度に嘆息した。あぁ、なんてタイミングの悪い。
 
 首に手をかけたまま振り返れば、眉間に皺を寄せたいけ好かない・・・いや、今となってはこの場でその心臓を刺し貫いてやりたいほど忌々しい皮肉屋のサーヴァントを睨みつけて、ついでその横の赤い少女を見る。いいマスターだ。実力も容姿も性格も申し分ない。当たりくじを引いたと思っていた。実際、当たりのマスターで間違いない。けれども、この少女の信を置かれているというだけで、そんなことはどうでもいいほどにただ、消してしまいたい。
 相反する感情をひた隠しに、けれど少女の首に添えた手を名残惜しく思っていれば、少女はほっと、安堵したかのように、肩から力を抜いた。・・・あぁ、どうして。
 振り返る。安心した顔で。微笑みを浮かべて。この手を振り払うように。親愛をこめて。唇が、音を。

 俺の名ではない、音を。

 俺、以外、を、。
 



「貴様!」
「ランサー?!」



 塞いだ唇の甘さは、かつて貪った彼女のそれと、何一つとして変わりはしなかった。






ヤンデレ兄貴ルート・Ex虎!ついでにヤンデレアサシン先生もいるよと仄めかせつつ。
姿見せてないからアサシン先生の存在兄貴気づくかしらー?と思いつつ視線ぐらいは気づくかも?と思ってのこれで。
とりあえず殺す気満々の兄貴でした。ヤンデレの定義がいまいちわからないのですが、これヤンデレでおk?
ふぇいとのキャラはみんな手が早そうだからなんだかそっち系が書きやすそう?傍観主で身体的接触系ラブ(?)を書いたのはutprとふぇいとが初めてだよ!多分。しかしどれも一方通行なのは否めない。てかラブ?うん?違う気がする。

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