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「四月、世の中の不条理を嘆いたリグレット」

 ざわざわと周囲に広がる話し声の数が増す。それを壁一枚隔てた向こう側で聞きながら、ばたばたと走り回りながら演台を用意し、マイクやスピーカーといった音響設備を整える裏方で、私は必死に手元の資料及び台本を必死に読み込んでいく。そのマイクの位置違うだろ!照明の位置確認しろよー!ちょ、スピーカー調子悪いんですけどぉぉぉ!!怒号といってもいい応酬を小耳に入れつつ、走り回る作業員の数ははたして学校の入学式にあっていいものなのか。これなんのテレビ番組?と言わんばかりの熱気ではあるが、大役を押し付けられた身としてはぶっちゃけそんな突っ込みをしている余裕もない。マジもうこの会社鬼畜すぎるよぉ!

「中村さん!早乙女社長がまだこちらに来ていないのですが、どうしましょう!?」
「え?まだ来てないんですか?」
「はい、もうすぐ式が始まるんですけど・・・!」

 ぶつぶつと頭の中で式のプログラムを思い返しながら、タイムスケジュールと照らし合わせて段取りをもう一度確認していると、女性AD・・・ではなくて事務所の事務員であるお姉さんが、血相を変えて走り寄ってきた。その声にパッと顔をあげて、あわてて腕時計を見ればもう式は始まる時間五分前を指している。おいおいおいおい、と心臓を跳ねさせた私は、しかしそれも想定内、とドキドキと騒ぐ心臓を悟られないように大丈夫です、と口を開いた。

「元々あの人の行動は予定に入れていても予定外であることがほとんどです。そのために社長のスピーチは式のラストに設定していますので、多少の遅刻は問題ありません。・・が、途中乱入してくる可能性は大幅にありますので、空中、地中、周囲の建物への監視は怠らないでください」
「は、はい!」
「皆さん、お聞きの通り社長は今ここにいません!が、いつどこからどう出てくるかわかりませんので、照明、音響、映像、全て社長の行動に合わせられるように注意を怠らないでください!」
「了解!!」

 元よりあの人を予定に組み込むことが間違いなのである。去年の自身の入学式を考えるだに、あの人が登場した時点で式はほぼ終わったも同然。その後持ち直しはほぼ不可能と言えるのだから、それまで粗方のプログラムを終わらせられればこちらの勝ちである。まぁ一応連絡だけはいれるように告げて、私はあぁ、今回はあの人どういう演出をする気なんだろう、と遠い目をしてため息を零した。あの人名何をやるか言ってくれないからホント現場の仕事が大変なんですけど。まぁそれでも、予定外であることを想定して準備を行えば、多少の無茶ブリにも対応は可能のはずだ。元々ここのスタッフは私よりも長くあの破天荒な社長と付き合いがあるのだから、それぐらいの臨機応変さは言われずともわかっているだろう。
 なんの戸惑いもなくテキパキと動き出す彼らに、マジプロってすごい、と思いながら、私は手渡されたマイクの音を確かめつつ、はぁ、と重たいため息を吐き出した。

「なんで私が司会進行しなくちゃいけないのさ・・・」

 これ本来は日向先生、基日向さんの仕事のはずなのであるが、今回彼らはあちら・・・新入社員の方へとつくとかで、なーぜーかー!私という新入社員にこの大役が押し付けられたのである。マジありえないどういうことなの何考えてるの学園ちょ、じゃなくて社長もそうだけど、企画書をあっさりこっちに手渡した日向さんも日向さんだ。そしてそれをニコニコ笑ってみてた月宮さんも月宮さんだ。
 なんなのあの人たち。そんなに私を胃腸炎にしたいの。過労死させたいの。新人にこれは無理だって。ハードル高いって。もうほんとやめてほしいというか、七海さんたち優先させすぎじゃね?期待の新人はわかるけどこっちももうちょっと気を使ってほしいんだけど。
 マジなにこの扱いの差は。生徒を谷底に突き落としすぎじゃね?もうちょっとこう、庇護してくれてもよくね?私まだ未成年だし。ちくしょう。
 さんざん呟いた愚痴を内心で零しつつ、スーツの襟元を正して背筋をぴしりと伸ばす。舞台袖に待機し、腕時計の時間を見比べながら、ぐッと台本を握りしめた。
 舞台袖の隙間からは、大勢の新入生が垣間見える。あぁ、これから彼らはこの理不尽と驚愕と破天荒と鬼畜の所業に溢れた無法地帯へと放り込まれるのだなぁ。まだこんなに初々しいというのに、これからの苦労が偲ばれる。それに、どれぐらいの生徒が無事に卒業できるのか。できたとして、どれだけ生き残っていけるのか。正直私おススメしないんだけどこの職場。

「・・・捕まったら最後って感じ」

 頑張れ若人。君たちの未来は予想もつかないアクシデントで構成されているに違いないから。

「中村さん、時間です」
「わかりました。・・・・・・行きましょう」

 とりあえず、きっと今頃マスターコースの社員寮できゃっきゃしているだろう友人達よ。私、しばらく君らと会えない気がするよ。ハハッ。
 パァ、と照明により舞台がライトアップされる中、私はばっくばくと跳ねる心臓を持て余し気味にできるだけ颯爽と見えるように、光り輝くステージへと足を進めたのだった。
 アイドルでもないのにこの仕打ち。いつだって退職届は出せる準備をしているが、出すタイミングははたしてあるのだろうか。






アニメ二期の一話をみて、というのとコメントで傍観主は~的なコメントを拝見したのでなんとなく二期における立ち位置を模索したらこうなった。マスターコースの裏方じゃなくて入学式の裏方やる羽目になってるよ!なんでだよ!!みたいなー?だって、シャイニーたもうすぐ入学式があるからアデューっていうから・・・。
多分卒業オーディション後即事務所に拉致されて新人研修もとい事務を押し付けられてそうだなぁって思ってます。やったね就職できたよ!一番避けたいルートに入ってるけど!作曲家としても多分ちょこちょこなんかさせられてそうですけどメインは事務なんじゃないかと思ってます。
えーと十二月のオーディションで即入社となれば四月に彼らがマスターコースに入寮するとしてすでに三か月近くは傍観主はシャイニング事務所の鬼畜の所業に晒されているわけですね。えぇ、割とのんびりしてそうな彼らとは裏腹にすでに泣きそうな展開になってそうです。
その三か月の間にこれも研修の一つ!とかで先輩アイドルの付き人もどきさせられたり日向先生の手伝いしたり事務所の事務員の先輩方に仕事教わったりこき使われたりしてることかと。
そして入学式の企画に下っ端で参加しているはずがシャイニーの一言で司会進行に抜擢されて「マジかよ!?」ってなったり?みたいなご都合主義?中身が中身なのでまぁやれないこともない範囲かと。いや普通は無理だと思いますけどね。
そんなもしもな二期ネタでした。まだ学生時代が終わってないのでどうとも言えませんが、こんな未来もあるかもね、程度で受け取ってください。いやマジにしないでくださいね。ただの二期を見てのネタですから!!


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