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「四月、(略)」

 今日も今日とて疲れ切った体を引きずり、社員寮へと帰宅した私を待っているのは明かりのない寂しい一室だけである。学生寮にいたころは時折にゃんこが出迎えてくれたものだが、あの卒業オーディションを境にいなくなってしまったので、あのにゃんこ様が今どこで何をしているのかはわからない。野良猫なのだからしょうがないのだが、疲れた体と心にあの癒し系がいないのが非常に心残りだ。・・・ペット飼っちゃダメかなぁ。

「寮だからダメだよねー」

 当たり前にペット厳禁なことに少々残念に思いつつ、部屋の明かりをつけてキッチンに買い物袋を置いて、買ってきたものを冷蔵庫やら棚の引出やらに片づけると、夕食の準備に取り掛かる。
 買ってきた鶏肉をパックから取り出し、葱の青い部分と生姜のスライスを水と一緒に鍋に全部ぶっこみ、火をかけて煮込む。最新式のIH仕様のコンロは時代を物語っているが、社員寮の癖に設備が充実しているところが天下のシャイニング事務所というべきかなんというか。普通はガスだよねぇ。しみじみと、仕事の忙しさはいかがなものかと思うが、お給料とか福利厚生とか設備とか、諸々考えればさすが大企業。就職先としてはかなりの好物件であることは間違いない。間違いないが、仕事内容が少々ブラック入りかけているような部分も無きにしも非ずなので、全面的にいいところだよ!というには抵抗感がある。あと主に社長の行動やらなんやらが関わってくるが、この辺はもはや今更なので、足掻いたところでどうしようもないだろう。毒されている、とはわかっているが慣れてしまったからには受け入れるしか道がないのだろう。
 鶏を茹でている間に服を着替え、化粧を落としてさっぱりしたところで茹で上げた鶏肉を取り出し、残った煮汁には簡単に味を調えて、溶き卵を落としてスープに仕立て上げ、取り出した鶏肉をスライスしてポン酢や醤油とごま油などのドレッシングを用意。あとはレタスやトマトなんかを添えて皿に盛りつけて完成だ。疲れた体での帰宅後には簡単にできる料理が一番だよねー。
 朝炊いたご飯をお茶碗に盛って、リビングまで持っていくとそこでようやく人心地つく。ご飯食べたら他の雑務やってー。お風呂入ってー。それでちょっとPCいじってー。あ、そういえば。

「今日ケン王のスペシャルしてたんだっけ。来栖君が出演してるんだよねぇ」

 日向さんは言わずもがなではあるが、一応同期の友人の初大仕事だ。正直ケン王にさほどの興味はないのだが、これは見るべきだろう。純粋に友人がテレビに出てるの見るのってなんかちょっとドキドキだし。リアル知り合いだもんなぁ。日向さんもはリアルで知り合いなのだが、あの人の場合は先に芸能人として見ているのでまださほどの違和感はない。だが来栖君は別だ。もとよりテレビからではなくリアルからの知り合いなので、こう、違和感があるんだよね。不思議な感じだ。そういえば全然彼らに会ってないな・・・一応同じ事務所にいるはずなのに。まぁ事務員とアイドルと作曲家じゃ働く空間そのものが違うし仕事も忙しいからニアミスすることも難しいよなぁ。・・・あれ?ていうか彼ら私がここで働いてるの知ってるっけ?

「・・・携帯ぶっ壊れてから連絡してなかったわーそういえば」

 そら知らんわな。卒業後は普通に進学して真っ当、いや別に芸能人が真っ当じゃないとはいわないが、こういう派手な方面とは無縁の道に進む予定で、そのつもりで彼らとも話したのだから、そりゃ私がここにいるなんて思いもよらないに違いない。見つかったら五月蠅そうだな。いやそれはしょうがないだろうけど、このままいけば普通に何年か知らないままでも行けそうな気がする。・・いや、さすがに月宮さんとか日向さんが何かしら話題に出してくるか。てかその前に一言連絡いれておくべきか。しかし未だ買い替えてもいないという。仕事用があるからいっかぁ、という私はどこかダメなのかもしれない。・・・うん。今度の休みに買いに行こう。そして連絡いれておこう。さすがにずっと音信不通でいるわけにもいくまい。そんなことを考えながら、録画しておいたケン王を見るためにテレビのスイッチを入れ、再生ボタンを押す。・・・えーと、確か日向さんからの話によると来栖君の今回の役柄はスペシャル限定のゲストキャラとして、結構ケン王と関わる重要ポジションのはずだ。なんだっけ、とある国にピンチが迫りそれをなんとかしようとする有志の少年戦士。そしてその争乱の中現れたケン王と悪者をなぎ倒していくという・・・これドラマなのかな?
 首を捻りつつ始まったドラマをご飯を食べながら眺めていく。おぉ、来栖君だ。すげぇ、ドラマに出てるよすげぇ来栖君。しかしなにその衣装。いや知ってたけど。これが某世紀末的な漫画のそれに似ているとは知っているけど。恰好が・・・面白いな・・・。てか来栖君腰細いなー。でもへそ出しならもうちょい腹筋が出ててもいいのになぁー。まぁアイドルだからあんまりムッキムキもダメなんだろう。彼のイメージ的なものもあるし。て、お?あのエキストラ四ノ宮君じゃね?なんだ、彼も出てたんだ。よくやってんなぁ。しかしこの時代背景に彼の和らぎ系フェイスはちと違和感。美形だからいいけども。ん?・・・・あー・・・あれ愛島さん、かな?話したことないからよく知らないけど・・・なんかドラマとは別枠であの衣装違和感ないわー。あ、日向さんだー。カッコいいけどやっぱその恰好ウケるー!てか全体的にウケるー!

「おぉ、来栖君闘ってる」

 さすが空手やってるだけあって動きが堂にいってるね。うん。そんなに違和感がない。演技としてはやっぱり他の役者さんたちから浮いてるけど、まぁそこはおいおい慣れていくところだろう。てかまずエキストラの質がたけぇ。特にやられ役半端ねぇ。ちょう上手い。あの橋からの落下とかすげぇ。
 あ、飛んだ。確かここノースタンドだったんだよね?月宮さんが世間話にしてくれてたけど・・・あの高さでよくまぁやろうとしたもんだ。
 そしてラスト付近になっての日向さん扮するケン王のアクションシーンの連続連続連続!すごいの一言に尽きるわけだが、ちょ、まwwwwてwwwww

「ぶほぉっ。ちょ、ま、半端、ない・・・・!」

 なにその足技、某格闘ゲームですかえ?これCG?CGなの?ガチじゃないよね?ガチだったら私もう日向さんを普通の人の括りにいれることができないwww竜巻www旋風脚wwwwどういうことなのwww思わずテーブルの上に突っ伏してしまいそうになったが、ここで目をそらすわけには・・・!という根性を発揮した結果、ラスト天が裂け大地から爆発が起きたところで私の腹筋はノックアウトだった。某彼風に言えばノッカーウ☆である。そうか、ケン王は、人外的な素養のある人物だったのだな・・・!

「ドラマじゃねぇよその設定・・・!」

 アニメとか漫画だよそれ!ちょ、やばい、ケン王、別の意味で面白い・・・!ラストは来栖君とケン王の心温まる別れのシーンで締められたわけだが、要所要所が盛りだくさんすぎて正直印象にない。これが、トップアイドル・・・というよりも人気俳優の実力か・・・!来栖君の存在感が消えちまったぜ・・・!いや覚えてるけど、ちゃんと印象も残ってるんだけど、一番は?と聞かれたらケン王と答えるしかない。すごいなぁ、日向さんは。

「あーやばい。明日日向さんまともに見れるかな。まぁスケジュールが合わなければ顔合わせないで済むと思うけど・・・」

 笑いすぎて引き攣る頬をぐにぐにと解しながら、私は未だ震える腹筋に、ひぃひぃと喉を鳴らして水を煽った。笑いすぎて火照った体に冷たい水が心地いい。ぐびぐび、と喉を鳴らして飲み干すと、よし、と頷く。

「今度ケン王借りて見よう」

 お笑い的な要素できっと楽しめる。ごめん、私にこれを純粋なるドラマの目線でみることはできないよ・・・!漫画原作とか言われた方がまだ納得できるんですけど。まなじ知り合いが出ている分普段のギャップやらと比べてしまって余計に笑えるんだな、と思いながら、私は停止ボタンを押して、普通のテレビ番組に戻すと椅子を引いて立ち上がる。あぁ、今日は気分よく寝られそうだ。

「笑うっていいわぁ」

 気分爽快とは、まさにこのことである!






タイトルが長いのでとりあえず略した。
三話のアニメの隙間小噺というよりもほぼ個人的にあのドラマをリアルでみた結果、やっぱりアニメ感想のようなことになるだろう傍観主、を想像して書きました。
基本傍観主は桐林の主観で動くので、反応もこうなります。少なくとも、あのドラマをみて「すごいかっこいい!」「素敵!」な感想を持つことはないと思っています。いやもちろん感動要素はあるんでしょうけど、トータル的に「ねぇよwww」みたいな部分が傍観主の感性だとあると思うんですよね。
普通ならこんな反応、夢主しないんでしょうけどねwwてか普通ならこんなキャラも出ないOFFネタ出さないですよねwwwでも偽らざる私の感想です(キリッ)
いや多分、戦闘シーンはもっとまとも、というか純粋に「すごいなー」というところもたくさんあると思いますよ?きっとあんなはっちゃけシーンはごく一部なだけで、話としては完成したものだとは思うんです。シリアスあり、恋愛あり、感動あり、お笑いありの。純粋に傍観主だって「いいなぁ」という部分もあると思うんです。ただ初見からのあの恰好とかまじ時代背景とかまぁ、突っ込みどころも多いよねというだけで。
てか、こういう反応でケン王を見ている話がないので、書いてみたかったというのもあります。うん。ごめんね日向先生v次あった時傍観主の顔が変に引き攣ってても気にしないでねww



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