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「珍獣の飼い方」

 バイトが終わり太陽も沈み切った頃、買い物袋を引っ提げて、カードキーを取り出す。がちゃり、と開錠音が聞こえてから、カードキーは財布の中にしまうと、がちゃりと一人離れ小島な部屋のドアノブを回した。容易く開いたドアから室内に入ると同時に、癖のようにただいまーと声をかけて玄関で靴を脱ぐとスリッパに足先を突っ込み、壁際に手さぐりで手を這わせて、指先にあたった感触に躊躇なくぱちり、とスイッチを入れた。
 途端、パッと明るくなる室内。上がる悲鳴。・・・・・・・・・・・悲鳴?

「・・・は?」

 聞こえるはずのない他人の声に、買い物袋を提げたまま瞬きをする。まぁ多少急に明るくなった部屋に目が眩んだというのもあるが、しかしそれでも、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる声は健在で、私はしきりに瞬きを繰り返した。

「い、いきなり明るくなったぞ!?」
「昼か!?朝になったのか?!」
「んなわけねぇだろ。さっきまで真っ暗だったじゃねぇか」

 わいわいぎゃあぎゃあわぁわぁ。一つの部屋に多人数の声が聞こえる様は、はっきりいって不気味なことこの上ない。泥棒・・・?いや、でも泥棒がこんな騒ぎ立てるはずがないだろうし・・・。しかもこの早乙女学園のセキュリティを突破できるような凄腕な泥棒なんているのだろうか?てか、声はすれども姿は見えないとはこれ如何に?
 え、なに心霊現象?・・・悪霊的なものは何も感じないけどな・・・。色々な憶測が頭の中を駆け巡るが、ひとまず、人を呼ぶべきだろうか、とうろり、と室内に視線を走らせて眉間に皺を寄せた。
 しかし、本当に姿が見えない。声からして男が数名。それもそこそこの年齢だと思うのだが、姿が見えないというのは謎だ。不審者であればその陰ぐらい見えそうなものなのだが・・・どこかに隠れているのか?・・・隠れてるなら尚のこと声を出して騒ぐ、なんて愚行を犯すはずもないか。と、なると・・・どこかの声が漏れ聞こえてる?・・いや、早乙女学園寮の防音設備は完璧だ。漏れ聞こえてくることはまずない。ならば盗聴器?んなもんを余所の部屋に仕掛けた記憶もなければ仕掛けられる理由もわからん。でもとりあえず家探しするべきか。
 悶々と考えながら、ひとまず荷物をその場に置いて、ひどく慌てたような、恐慌状態といってもいい様子で騒ぎ立てる声の方へ、そろそろと気配を殺して忍び寄る。近づけば近づくほど、声ははっきりと、大きく聞こえ始めた。

「お前ら少しは落ち着け!!うるせぇぞ!」
「あはは、やだなー。土方さんの方がうるさいですよ?」
「あぁ?!」
「副長、落ち着いてください。総司、あんたもこの状況で煽るようなことを言うものじゃない」

 声がするのは、ベッドの足元の方だ。丁度玄関側からは奥のほうで、影になっている部分。そこで、どうやらこの声の持ち主たちは話し込んでいるようだが・・・声の数から察するに、六人。六人もいて、姿が見えない?しかも、なんか、割と、聞き覚えがあるような声、のような・・・?なんとなく嫌な予感を覚えつつも、そろそろと近寄り、ベッドの横にくると四つん這いになって、殊更ゆっくりと近づいた。声は、こちらのことなど気づいた様子もなく、呑気に・・・呑気?に、会話を続けている。

「この状況だからこそいつも通りにしてあげようっていう心遣いじゃない。まぁそれに、新八さんたちが騒ぐのもわかるし。本当、昼間みたいに明るいですね。あれが原因かなぁ?」
「総司、てめぇなぁ・・・!」
「まぁまぁ土方さん。そう目くじら立てなくても。それよか、折角明るくなったんだ、ちょっとは周りの様子ってのも確認してみるのも・・・」

 うわ、この声マジ聞き覚えあるんですけど。しかも結構身近に。そう思いつつ、ひょい、と、横から顔を覗かせると、穏やかな調子でキレ気味だった声の主を宥めていた、だろう人物と、ぱちりと目があった。お互い、視線を交わしながらも、言葉もなく、固まっている。いや、これが固まらずにはいられるだろうか?

「ん?どうした、左之・・・・どえええええ!!!???」
「ぎゃーーー!化け物ぉぉぉぉぉぉ!!!???」

 いこら。誰が化け物だ。思わずそう突っ込みたくなったが、いや、そういわれるのも仕方ない、のか?と自分を納得させ、こちらを振り向いた彼らが一斉にぎょっと目を見開くのを眺めて、私は四つん這いの状態から床にべた座りになり、そっと手のひらで目元を覆った。
 うん・・・えっと・・・・・・二頭身の、人型の生き物(言葉を介する)って、この世に存在してたっけかな・・・?
 頭は大きく、体は小さい。目はくりくりで大きくて、顔の半分ぐらいは埋まってる。いやちょっと目つき悪そうなのもいたけど、まぁ概ね愛嬌のある顔だったわな。うん。まるで、ぬいぐるみみたいな、アンバランスなのにバランスのとれた形。とりあえず、現実としては存在しないんじゃないかなーって、感じの。なんか、人間をデフォルト化したらこんな感じだよね!みたいな。そう、そんな二次元チックな・・・・・・・・・。

「ないわー」

 色んな意味で、ないわー。思わずつぶやけば「何者だ、てめぇ」といきり立った様子で、ちっさい黒髪ストレートの男の子?が、なんか、腰から針みたいなものを突き付けてきた。針っぽいけど、あれ刀?なのかな?形がそれっぽいけど。うん。・・・うん。

「そうだ。買ってきたもの片づけないと!」

 とりあえず、見なかったことにしよう!パチン、と両手を合わせて、威嚇してくるミニマムたちをするっとぬるっと視界から排除して、私はくるりと踵を返した。後ろから「おい!?」と慌てたような、むしろ怒髪天をついたような声がかけられたが、知りません聞こえません。私、二次元チックなデフォキャラなんてみてないよ!てかそんなもの、この世にまともに存在するわけないんだよ!だから、そうこれは!

「幻に決まってる」

 バイト帰りで疲れてるんだよ、私。そう言い聞かせて、玄関先に置きっぱなしの買い物袋を持ち上げて、私はため息を零した。・・まぁ、無駄な気もしてるんですけどね。








傍観主ではくおーき。チビキャラ逆トリップ編。幼児化ですらない扱いですね!
書きたくなったので冒頭を書いてみた!あとにゃんこも登場させてわぁわぁぎゃぁぎゃあさせたいです。
キャラの登場の仕方はみんな一気に出てくるのと、徐々に人数が増えてくるのと2パターンぐらいあるんですけど、とりあえず全員一気に出してみた。新八さんもいるのは単なる趣味です。近藤さんと山南さんも出した方がいいかなぁと思ったんですけど、多すぎても動かせないので省きました。サーセン。
あと冒頭が思いついてるのは一つ屋根の下なので、それもまたお試し感覚で書いてみたい。
やっぱり王道な土方さんがコメでご要望が多いみたいなので、土方さん宅に居候でやってみようかと思います。

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