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「IF夜はお静かに」

 
 それは、ひどく見慣れた背中だった。
 ランサーが地に落ちた黄薔薇(ゲイ・ボウ)を蹴り上げ、光を吹き上げながら突撃してきたセイバーと交錯しようとした、まさにその瞬間に、鈍い鍔競り音が張りつめた戦場に鳴り響く。止められた刃に、息を飲んだのはサーヴァントだったのか、マスターだったのか。
 ふわりと、赤い外套が膨らんで翻る。分厚い筋肉に覆われた逞しい背中が、異様なまでの存在感で目を惹いた。
 その両腕に握られた白と黒の剣は、確かに今まさに重なり合うはずだった刃を受け止め、ぎりりと悲鳴をあげている。ぶつかりあった衝撃で舞いあがった風と砂埃が、もうもうと立ち込める中。聞き覚えのある低音が、シニカルな調子で水面を揺らした。

「この勝負、しばし私が預かろう」

 
 な、と声を零したのはランサーだったかもしれない。二人のサーヴァントの一撃を受け止めた赤い外套の武人は、いかほどの衝撃の名残も見せずに、ギンッと腕に力をこめて鈍い音をたててランサーとセイバーを跳ね除けた。サーヴァント、しかもあれほどの力を見せつけたランサーとセイバーの攻撃を片手ずつで受け止めて、絶対にその衝撃は並大抵のものではなかったはずなのだが、内心はどうあれおくびにも出さないのは、さすが、と褒めるべきだろうか。
 咄嗟に距離をあけた二人は、それでもすぐさま武器を構えて突然の乱入者に対して警戒を見せる。もうもうと舞い上がっていた砂埃は、その段になって、ようやく落ち着きを見せ始めた。靄がかかったようだった空間は、俄かにクリアになっていくと、背中しか見えなかったサーヴァントの顔もよく見えるようになった。まっすぐに伸びた背筋。褐色の肌。色素の抜けた髪。不適な笑みを浮かべる口元は、あぁ、どうして。

「・・・アヴェン、ジャー」

 
 
 それとも、アーチャーと呼んだ方がいいのだろうか?二つのクラスの記憶をたどりながら零れた声は、ひどくか細い。水鏡の縁を掴み、覗き込むようにして食い入るように見つめる。かつて、そうかつて。共にいたサーヴァントの姿に。ひどい動揺を覚えた。
 どうしてまた、彼がいるのだろう。水鏡越しに。誰何の声を投げるランサーの声を聴きながら。応える彼の声に懐かしさを覚えながら。
 その後の怒涛すぎる展開に、最早頭は飽和状態だった。
 空から轟音をたてて征服王は登場するし、教え子はその戦車に乗ってるし、征服王が挑発したらなんでか色々出てきたし?!金ぴかに黒いのとか。あと他のマスターとか。とりあえず、誰にも聞こえてないとは思うけど。

「なんでセーラームーンのお面やねん」

 アヴェンジャーのマスターが、なぜかコンテナの上からライトアップされつつ月に代わっておしおきよ☆と懐かしすぎるフレーズとポーズつきで登場をした瞬間には、なんかもう色々と空気が台無しになっていた。ポカーンとか、三点リーダーつきの沈黙とか、多分こんな感じ。あ。アヴェンジャーが悲しいぐらいに項垂れてる。そしてマスターの方、コンテナから降りれなくなっている。じゃぁ登るなよ。

―――主、どうしましょう・・・。

 ふと、アヴェンジャーを呼びつけてコンテナから降ろしてもらってるマスターという、微笑ましいのか最早空気は吸うものだとばかりの場の雰囲気に、ほとほと困り果てた、とばかりのランサーの声が聞こえて、私は少しばかり沈黙すると重々しく口を開いた。

「成り行きをしばらく見守んなさい」

 とりあえず、眺めてる分にはシリアスクラッシュすぎてぶっちゃけ面白いから。当事者にだけはなりたくないがな!
 渦中にいるような、蚊帳の外のような、微妙な立ち位置になってしまったランサーを労いつつ、私は最早コメディ映画をみるような心地で、水鏡の中へと、思いを馳せた。アヴェンジャー、随分と面白いマスターに出会えたんだねぇ。
 それをよかったというべきなのかは、よくわからないけれど。







イレギュラー乱入バージョン。傍観主はエクストラループで出戻り鯖経由で成り代わりという経緯にしてみた。そっちのが美味しいのかな?って。思って。イレギュラー鯖は赤弓さんか兄貴かで迷った。二人とも召喚されてても美味しいけどね。
もしもこうだったら、なのでちょっとしたお遊び感覚です。
次は傍観主とヒロインの接触にいくよー!てかこれどこまで書けばいいのかな・・・思いのほか続いてしまっていることが解せない。


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