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リュックサックにいれるのは治療道具に最低限の着替え、化粧水と乳液はあれだまだ肉体的に若いからって過信してはいけないのでしっかりいれておく。これでも中身はいい年なので、化粧こそしないけどスキンケアだけは大事だと思うんだ。化粧しなくていいのって本当楽だよね。眉毛整えてれば大丈夫大丈夫。
まぁリップぐらいはしますけどね。最近めっきりストレス溜まってきてるんですよ精神的苦痛半端ない。
あといれてるのは調理に必要な調味料とか長持ちする食糧とか、頼まれたインスタントラーメンとか。でもあいつラーメン好きだけど私が作ったものも結構好きだよね。
一通りの準備を終えて、重苦しく溜息を吐いた。・・・・行きたくないなー・・・。鬱々として、漫画的描写なら確実に顔に縦線をいれてるぐらい気落ちした様子で口を閉じたリュックサックをじと目で見下ろした。
行きたくない、本当に行きたくない。いっそあの井戸を埋め立ててやろうかと思うんだけどどことなく意味ないんじゃないかしらとか埋め立てるだけの資金なんぞねぇよとか現実的な面で妥協せざるを終えず、なんだか胃がキリキリと痛みを訴えた気がして軽く凹んだ。私、そのうち胃に穴があくんじゃないかと切に心配しているんですよ・・・胃薬のんどこ。
馴染みのラッパのマークのついた小瓶に手を伸ばしたところで、ふわりと部屋の空気が流れる気配を感じ、ぎくりと肩を揺らした。カラカラカラ、と、窓が横に引かれる音が背後から聞こえる。・・・・きーやーがーったーーー。
「おう、露。なにぐずぐずしてんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・色々と諦められない諸々とか胃の調子とか今後の憂いとかとにかく諸々のことで軽く欝ってたんですよ・・・」
「なにいってんだ?おめー」
最早諦めと相違ない死んだ魚のような目で、オワタ、と何度思ったか知れないことを再度認識しながら後ろを振り返った。正直これも何度思ったかわからないが、これが夢ならいいのに今でさえ思う。
私の混ざり気のない本音を吐露したにも関わらず、多分なんもわかっちゃいない青年の、理解不能、と書かれた顔で首を倒す様にどことなくあどけなさを感じる。
長い銀髪がそよそよとカーテンと一緒に風に揺れ、たわわな緋色の袖が窓の桟にひっかかって皺を作る。窓枠に素足で登り、しゃがみこんだままこちらを真っ直ぐと見つめる青年に、こいつがいるから結局井戸埋めても無意味そうだって思うんだよねー、と私は溜息を零した。
ぴくぴく、と彼の頭の上にある、髪と同色の毛に包まれた人ならざる獣の耳が、その溜息を聞きとがめたかのように動いた。・・・向こうにいったらあの愛らしい子狐と猫又に癒されよう。そうしよう。思わず硬く心に誓うと、青年・・・人と妖怪の相の子という数奇な運命をその身に宿した青年は、む、と眉を寄せて不機嫌そうにこちらを睨んできた。まぁ基本不機嫌そうな顔はデフォルトですけどね。
「人の顔みてなに溜息吐いてんだよ」
「いや・・別に。わざわざ迎えにこなくてもいいんだよ?犬夜叉」
むしろ来るなと言いたい。こなければそのまま私は平和な現代ライフを満喫できるというのに!思いは顔ににじみ出ていたのだろうか、犬夜叉は益々不機嫌そうな顔をして、器用に窓枠に座り込んだままふんぞり返って腕を組んだ。垣間見た指の先のいやに鋭利な爪がまさしく凶器であることが恐ろしいと思う。あれで人の肉も岩も家も破壊できるとか妖怪チート半端ねぇ。
「迎えにこなかったらおめぇ絶対来ないだろ」
「ソンナコトナイヨ」
「・・・あからさまに棒読みだったぞ、今」
視線を逸らしつつ堪えれば突き刺さる視線視線視線。ちらりと見ればじと目の犬夜叉に、私はもう一度溜息を吐いてリュックサックを背中に背負い込んだ。ずっしりと重たくなる背中がなんだか私の気持ちを示しているかのようだ。
「なんで、このポジションなのかねぇ・・・」
「あぁ?なんのことだ?」
「なーんでもない。ほらほら犬夜叉。皆待ってるんでしょ?ちゃっちゃと行くよー」
とりあえずお前一応平均男子中学生並の体重はあるんだろうから、いつまでも窓枠に乗るんじゃないよそのうち体重でばきっと壊れたらどうしてくれる。修理代払うのはあんたじゃなくてうちのママンとパパンなんだからね。
疑問符を浮かべる犬夜叉を窓枠から追い出し、窓を閉めて鍵も施錠する。しばらく別れを告げることになるだろう自室を見渡し、私はもう一度溜息を・・・・吐きそうなのをぐっと堪え、勢い良く、けれど最後は大人しく、部屋の扉を閉めた。
「・・・妖怪怖いよー」
ぶっちゃけ奈落とかどうでもよいじゃん、とか思うんですけど、ダメですかそうですか。うぅ、泣きたい、と思いながらも、しっかりちゃっかり玄関で待ち構えているお犬さまに、私は何度目かの腹を括った。
あの時代に行く度に括り直す腹は本当に、原作ヒロインに尊敬の眼差しを送るしかできないと思った。
かごめちゃんカムバック。
犬夜叉。いきなり犬夜叉。ふと殺りん萌えが湧き上がりそこから犬かごも好きよ!と思い、うっかり蛮かご萌え?!に行き当たりつつやっぱ殺りん好き!から犬パパ萌えは相変わらず、しかし殺ママは超好み!と爆笑しつつ犬夜叉完結編の冥界の丸様に「こ、こいつやりやがった・・・!」という戦慄を数多乗り越え、行き着いたところが何故かかごめちゃん成り代わりです。あれー?そこ殺生丸様とか犬パパに走るとこじゃね?
とりあえずかごめちゃんポジションに夢主を投入してみた。果たして無事犬夜叉とくっついてくれるのかは定かではありません。
夢主基礎設定は転生者。原作知識曖昧。(初期の知識しか持ってない)ぶっちゃけ妖怪とバトルとか無いわー。四魂の玉とか知るかよー。と思いつつもほっとけないので半ば強制参戦。最近胃薬が欠かせません。
とかそんな感じです。
んー・・・なんていうか、割かしおおらかに物事を受け止めて、こう、犬夜叉と喧嘩も少なくとというか、桔梗さんとの間もおおらかに受け止めていっそ放任主義にほどがあるっていうぐらい余裕があって、という、なんていうか。そう。犬夜叉が一人ギクギク気まずく空回りしてるようなのが書きたいと思ったのだと思う。
あと犬夜叉の成り代わり系はあまりなさそうだったので。丸様成り代わりだときっと勘違いギャグネタになるんだろうなって思います。表面クール中身テンパってるテンション高めの男子が丸様成り代わりの王道だって思ってます。
傍観主でりんちゃんポジに成り代わりとかもあったんだが、成り代わるならばまた別の主人公がよいかなと思って。でもりんちゃんポジなら傍観主でもいけるよねえ?・・・まぁ、傍観主が丸様に接触を図るかどうかが問題だがな!
かごめ成り代わりは・・・原作沿いだろうなぁ。完結してるからいくらか書きやすいのかな。どうだろう。
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