斜め４５度ぐらいで。

世界には様々な世界線があると知っている。それは所謂平行世界―パラレルワールド―と言われる数多の可能性だ。それらは決して混じり合うことはなく、その呼び名の通りに平行線上を進み続ける。ひどく近く、紙一枚向こうの存在だとしても――決して交わることは有りえない虚構世界。
　それがあるかも断言できない、けれどあると言われ続けるその世界の存在を、知っているということはなんとも座りの悪い話だ。知らなければよかったことだろうに、とそう思いはしても歴然として知っているからには如何ともし難く・・・

「いやんご主人様ｖ現実逃避しないでくださいまし。これから私とご主人様のラブラブ新婚生活が幕を開けるんですから！」
「いやうんえぇと・・・」

　だからうんまぁ色々現実離れしたことは体験してきてるからある程度対応もできるにはできるんだけどそれでもやっぱりファーストインパクトには毎回動揺しまくるのもお約束なわけでさすがにそこまで対応できちゃったら色々人間として終わる気もしちゃうしいやでもうんこれは・・・ちょっと・・・。

「まぁちょっとーこの姿じゃビジュアル的に不満ですけどーでもまぁこれでご主人様と四六始終おはようからおやすみお風呂の時間までいられるとかマジ天国ハラショーぐふふのふですしー。エメラルドちゃん超幸せっていうかーもうこれは結婚！結婚しかないですよご主人様！！さぁさこの結婚届にサインを！！！！」
「いややめて。色々やめて。意味がわからないけどとりあえず限りなく私にとって不本意極まりない展開になることだけは察せられるからマジ勘弁してください」

　ぐいぐいと結婚届（どこから出した）を突き付けて迫ってくる緑色の球体と多分葉っぱ？的なモチーフがついた、どこぞの魔法少女が持つようなあるいは幼女の玩具的なステッキの蛮行に死んだ魚のような目になっている確信を得ながらも、私は両手を突きだして待ったをかける。
　まぁちょっと暴走爆走欲望駄々漏れの感があるこの喋るファンシーなステッキにはイマイチ効果はないかもしれないが、とりあえず止まってくれないとどう対処すればいいのかわからない。
　加えて言うならそんな押し売り商法みたいなやり方で契約するほど私主婦経験浅くなくてよ？

「っく、さすがご主人様・・・私の押せ押せゴーイン勢いで契約しちゃいましょうね戦法が通じないとは・・・！そんなところもス・テ・キ！」
「はいはいちょっとお口にチャックしてねー」
「きゃわわ～ん！ご主人様萌えきゅんです～～！」
「投げ捨てるよ？」
「エメラルドちゃん聞き分けのいい良妻なので、お口にチャックしまーす！」

　うん。やっと静かになった。ひとまず嵐のようなマシンガントークが収まったところで、私は割れた窓ガラスを眺めて、さぁ、どうしたものかなぁ、と勉強机前の椅子に深く腰掛けてため息を吐いた。



　どうしよう。これ一体何フラグなの？





　

タイトルが浮かばなかったのでなんかあれですが、あれです。うん。
ぷりずま☆いりやを見て触発されたのでそこはかとなく導入部分を書いてみた。
プリヤの世界に転生した傍観主による巻き込まれというか半ば確信犯による強引引きずり込まれ系マジカル☆ファンタジー！ツヴァイ！から参戦をイメージしてます。
魔法のステッキはルビーサファイアときてるのでじゃぁエメラルドだなと。あと中身はどうしようかなーと思ったので、キャス狐を中身にしちゃえ！と思って尽くす系良妻ステッキの爆誕です。一応敬語つながりですし。
まぁ傍観主の立ち位置は魔法少女の癖に完全サポートに徹底する後方支援タイプかと。傍観主主力系じゃなくて明らかに補助系ですし。あと色々やりたくないでしょうからね！
そんな傍観主の魔法少女衣装（恥）は和風タイプ。ふりふりはあっても和寄りかなーと。
まぁキャス狐の衣装をちょっと子供向けにアレンジしてふりふり感を足したようなイメージで。それでカラーリングは緑系であればいいんじゃないかなぁとか・・・色々妄想したらとりあえずステッキとはラブラブですが子ギル様にも狙われる傍観主が出来上がりました。
この傍観主はルートすいーつ（）の繰り返しの中でCCCも経験しちゃった系傍観主。裏の鯖は英雄王かな！
まぁそんなこんなで魔法少女な傍観主による「この年で魔法少女（笑）とか。・・・とか・・・」というお話。考えてる分には非常に楽しいです。