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これ、全部無駄になったらどうしよう。
そんな心配が、なかったわけではない。むしろ大半の人間がその思いと共に祝勝会の準備を粛々と進めていたことだろう。手配は数日前から。会場設営から飲食物に至るまで、まずライブ本番が始まる前から行われていたのだから、正直これが無駄になった時には腹掻っ捌く勢いでテンションが落ちるだろう。まぁさすがにそうなったらそうなったで「受賞逃しちゃったね残念パーティ」とでも銘打って結局これは活用されるだろうが(さすがにこれを丸侭キャンセルしたら大打撃すぎる)、それでも祝い事のために準備したものがその用途のまま行使されないなどと、切なすぎる。
口々に早乙女社長チャレンジャー、だの負けたら解散かあ・・・だの、とりあえず二割の愚痴と三割の希望、それから五割の空元気でパーティ準備を進めていた。
けれども、そんな裏方の諸事情など知る由もないだろうが、彼らは勝利を収めた。その興奮たるや、ぶっちゃけ私ついてけない、と匙を投げるほどである。ついでに言えば、歌が終わった後の皆さんの恍惚した表情というか魂抜かれちゃったんですかね?と言わんばかりの様子にすでに置いてけぼりを食らっていたわけなのだが。え、なに?ハッピー?うん?ごめ、よくわからな。
・・・さておき、見事我が事務所が勝利の錦を飾り、とんだ茶番げ、ごふん。皆の善意といつの間にそんな副賞が?!という驚きと共に敗者の解散という事態も回避され、万々歳。めでたしめでたし、というわけである。うーん・・・見事にこう、社長の手のひらの上で踊らされていた感が半端ないのだが、まぁ、万事丸く収まったのだから良しとした方がいいのだろう。何事もハッピーエンドに勝るものはないのである。とりあえず今後のST☆RISHの活動の幅が広がるとともに事務所も忙しくなるだろうなぁ、という嬉しいのか今のままで十分忙しいからもうやめてと言いたいのか、複雑な心境で私は廊下を歩いていた。
何故なら、先輩の命令、基お願いで、倉庫の備品を持ってきてほしいと頼まれたからだ。てくてくと人気のない廊下を、指定の倉庫目指して進めば、目的の表札が見えて足を止めた。
ほぼ滅多と使われることのない倉庫だ。というか私も訪れるのは初めてである。むしろ存在を知ったのも今日が初めてというか。・・・まぁとにかく、さっさと頼まれごとを済ませて会場に戻らなければ。なにせそろそろ今回の祝勝会のメインであるST☆RISHが会場入りをする時間なのである。恐らくこのパーティの存在を知らされていない彼らの驚きの姿が目に浮かぶが、その現場を見れないのも詰まらない。あと、ようやくまともに接触、いや再会できそうなので。
・・・こういうところで再会した方がお説教フラグも若干回避できないかなーという打算含み、この興奮にまぎれてしまえ、という計算である。劇的な勝利と興奮に加えてパーティというサプライズ。うむ。いい具合に色々吹っ飛びそうじゃないか。それに、これを逃すとまたしばらく渋谷さんみたいな偶然でみない限り会えそうにないし。
別に私だって会いたくないわけじゃないのだ。いやキャラ濃いなぁとは思っているけれど、純粋に友人として、会えるものなら会いたいと思っている。ただ仕事が忙しいのと時間が合わないのとあと一々動くのが面倒、げふん。・・・まぁ、なるようになれ精神がないとは言わないけども。同じ事務所にいるはずなのにここまですれ違いまくってるのもある種の奇跡にも近い気がする。いくら携帯という連絡手段がないとはいえ、だ。日向さんと月宮さんとはかなりの頻度で会ってるのにな。主に仕事関係と押しかけ夕食会とかだけども。
さておき、ようやく叶いそうな再会の兆しに、さっさと仕事を終えて会場に向かいたいという私の心情も察してもらいたいわけだ。
ため息を吐きつつ、ドアをあける。中に入り、ドアをあけっぱなしのまま、壁にあるだろう照明スイッチを探していると、不意にバタン、とドアが閉まった。突然廊下の明かりという光源がなくなり真っ暗になった倉庫に驚いて目を見張るも、闇に慣れない目では周りの様子もわからない。うわ、早く電気つけないと。慌ててぺたぺたと壁に手をあてて、照明スイッチを探す。しかし見当違いなところに触れているのか、一向に指先にも掠らずに、私はぐっと目を凝らして壁を見つめた。・・・夜目は利く方だが、さすがにこうも光源が全て遮断されていると中々きついな。倉庫の中なだけあり、ドアが閉まってしまえば入ってくる明かりなどない。
まいったなぁ、と思いながら壁をぺたぺた、諦めずに触っていると、不意に。そう、全くの不意だ。壁が、傾いた。え?と思ったのもつかの間。思わず伸ばした先で、決して掴まることなく倒れていく壁。何故壁が倒れる?え、私が押したせい?うっそん。どんな手抜き工事だよ!訴えてやる、と同時に、私のせいじゃないんです!!という叫びが頭の中を駆け回る。
目を見開く中、倒れていく壁の隙間から、パァァ、と光が差し込んだ。暗闇から、溢れるほどの光。うわ、まぶし!咄嗟に目を閉じ、ぎゅっと体中に力をいれたところで、マイクを通す聞き慣れた声が、鼓膜を揺さぶる。
「Happy Surprise!!!!」
社長、あんたまた何かやらかしたんか。アワード会場でも色々やらかしてたのにここでもか、と半ば諦めと呆れの境地で、一体今度はどんな後始末が、と閉じていた目を開けて、周囲を見渡して、
「・・・・・・は?」
ポカン、と口を開けて呆けた。いや、呆けざるを得なかった。
だって、そこは、備品が溢れる埃っぽい倉庫でも、廊下でも、社員の仕事場でもない。そこは、そこに広がっていたのは、私がついさっきまで設営を手伝っていた、パーティ会場だったのだから!溢れる光。知ってますそれライブ会場のごとく色とか効果とか変えられるんですよね。流れる音楽。頑張ったよね音楽の選曲。私じゃなくて他の人が。並べられたテーブル。大変だった、こうも広いと。その上の料理の数々。タッパに詰め込むことは可能か聞いた日々が懐かしい。祝・うたプリアワード受賞!と掲げられた弾幕に、目の前をひらひらと紙ふぶきが舞い散る。あぁ、料理の上に落ちないかなぁ、と心配はあれど、何より注目の視線を集めていることが耐えられない。何、何故、何事。状況に中々追いつけない中、私は、真正面、佇む姿を見つけて、咄嗟に、片手をあげた。
「・・・久しぶり?皆」
「透子ーーーーーー!!!????」
ちなみに疑問形なのは、ぶっちゃけ私の方は大体彼らの動向を知っていたからである。
・・・どうやら私は、社長のサプライズによって、突如としてパーティ会場入りをしてしまったようだ。四方に倒れている壁、散った後の紙ふぶきのあと、それから巨大な布が床一面に広がっている様に、何か大がかりな仕掛けが施されているようだ、と呑気にも考えていたのは、まぁ、なんというか、慣れと諦めと現実逃避だよね、と。
突撃してくる彼らを眺めつつ、天井を見やり、ため息を零した。
巨大バルーンの上で笑ってる社長よ、つくづく貴方は、人を驚かせる人ですね。
というわけで、アニメの隙間小噺ラストは、一応彼らとの再会?で締めてみました。
傍観主が登場を果たしたシチュエーションは客観的に見ると巨大プレゼント箱のリボンが解けて箱の四方が倒れてバーン!な感じです。
第六倉庫室そのものが仕掛けになっていて、傍観主に気づかれないようにこう、上に上がって行ってたんですね。無音で。多分シャイニーならそれぐらいの仕掛けはできるかなぁとか。
とりあえず、おしまい!
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