[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
あのドピンク男、マジ面倒なもの残していきやがった。
うっかり内心で悪意を篭めた恨み言をぼやきつつ、目の前で正座して懇々と説教を続けるジュラキュールさんに、出そうになった溜息をぐっと飲み込んだ。ここで溜息など出そうものなら無駄に長い説教がまた伸びるに違いない。というかこの人こんなに話せたんだ、という軽い発見をしつつも、うんざりとした気持ちは隠せなかった。
いつもは必要なことすらも単語程度で伝えるだけで大して会話なんて成り立たないくせに、なんでこういうときだけ流暢に話し始めるんだろうこの男。正座は別に慣れているので苦ではないが、それでも延々とお説教を聴かされる正座は如何ともしがたい。更に言うなら、説教内容が「妻たるはこうであれ」というぶっちゃけ何をいきなり言い始めたのこの人、とドン引きするような内容なのだ。聞き流しは可でしょうか。
でも時々「聞いているのか?」とか言ってくるのでうかうかスルーもしていられない。だからといって、「妻たるもの貞淑であるべき」とかうんたらかんたら、お前さんは見た目十二歳に何を求めいているのだね、とこちらが逆に問いただしたいぐらいだ。
夫以外の男を優先するなど言語道断とか、どこの亭主関白。ジュラキュールさん、今時それ流行らないよ。というかユキ先輩たちの前でそんな発言とかしたらフルボッコフラグは免れないだろう。
あの時代、男尊女卑がまかり通る時代のはずなのに女子のヒエラルキーの高さ半端ないし。くの一超強ぇ。というかこの世界も女子の強さ半端ないし。・・・・・・・女子強し、という認識を改めつつ、しかしながらそれが自分にも適応されればこんなわけのわからない状況も打破できただろうに、と思わずしょんぼりと項垂れた。
もっと強ければ、彼に強く出ることも出来ただろうに・・・・・・・そもそも私あなたの嫁さんじゃないっていう根本的なツッコミから、さ。いやもう本当に、この四十路そろそろいっちゃうようなオジサマは十二歳、現代ならまだ小学生でまかり通るお子様に向かってなんで嫁発言かました挙句自分ちゃっかり夫の位置についているのかしらね。私あなたと籍いれた覚えもなければ結婚した記憶もないですよ。
中身はともかく年の差考えろー。せめて娘と父親設定にしようよ。何故ぶっ飛んで嫁にいったんだ。
それでいいのか世界一の大剣豪。ロリコンのレッテル貼られるぞ大剣豪。なんて残念なんだ大剣豪。そもそも私にも夫を選ぶ権利があるはずなのに有無を言わさないこの流れはなんなのか。
突っ込みたい、根本的問題に突っ込みたい。だけど言えないチキンな私をどうか許して。しかしこのままだとなんていうか、うん。・・・・・・・・嫁確定されそうで怖いんですけど。しかし否定をしても通じるのかどうか。
この人、いらんところで天然というか、会話が噛み合わないことがあるからな!(すでにこの説教タイムに入る前でさえ噛み合わない会話を繰り広げたところだ。「アナタ(二人称)」は断じて「あなた(夫を呼ぶ二人称)」の意味ではない)
至極先の見えない様子にどんよりとしていると、流れるように続いていた要約すると「旦那様を優先させなさい」的な説教がピタリと止まっていることに気づき怪訝に思いながらそろそろと顔をあげた。
この人基本が真顔なもんだからぶっちゃけ顔怖いんだよね。通常モードならまだしもお説教されながらやたらと鋭利な目で見られると萎縮しちゃうっていうか。びくびくしながら窺うようにジュラキュールさんの顔を見ると、彼はむっつりと口をへの字に結び・・・・ちょっと焦った様子でむぅ、と口を閉ざしていた。
はて。この真顔標準装備の男の顔色がわかるようになってきた自分に天晴れと言えばいいのか、どうしたんですか?と問い返せばいいのか・・・・どちらが正解なのか。
こてん、と首を傾げると、ジュラキュールさんは珍しくも視線をうろ、と少しばかり泳がせてから、ぎこちない様子でまぁ、いい、と口を開いた。
「・・・・以後、気をつけるように」
「・・・はい」
語尾によほどクエスチョンマークをつけたかったが、ここでそれをするとまた面倒な説教タイムに入りかねないので、なんでこんなほっとしたような顔をしているのかわからないながらも神妙なフリをして頷く。
ようやく終わった説教にほっとしながらも、とりあえずお腹が減っているだろう彼のためにご飯を炊きなおすことから始めねばならない。・・・まぁ、私も、普通に家主差し置いてあんな怪しさ大爆発のピンク男にご飯全部あげたのはまずかったかな、と思わないでもないのだ。嫁とか旦那云々はさておき、一応お世話になっている身なのにそれはちょっとなぁ、とか。嫁とか旦那とかはさておき、まぁ別に、彼を優先させることは何も間違ったことではないと思うし。嫁とか旦那はさておき、恩返しの意味合いでは要求は普通のものだろう。嫁とか旦那はさておき。大事なことなので何度も言うよ!
「今後あの男は船に上げるな」
「あぁ、それは。はい。善処します」
しかし善処してもどうにもならないタイプな気もするので、今後近寄らないことを祈るしかないだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、なんか、色々手遅れなのかなぁ、って、思ったりもしてるんだけど。
正座から立ち上がり、椅子に座って新聞を広げ始めたジュラキュールさんを見つめながら、はぁ、と今度こそ殺していた溜息を大きく吐き出した。嫁って、どうやって否定して言ったら通じるのかな・・・。
諦めるしかないのだろうか、いやそれでは私の今後が!と思いながら、最終的にもうどうもでいいや、で終わらせてしまいそうな自分に、ちょっと遠い目をしてしまった。・・・やってること別に何も変わらないだろうしなぁ。あーあ。大剣豪、色んな意味で残念だ!
紅茶よりもコーヒーが好きで、その癖ブラックはあまり好きではないのかミルクをいれるのが好き。
砂糖はいれないらしいが、甘いものは好きで最近は和菓子が気に入っているらしい。洋菓子とは違う甘みを好んで、お気に入りはみたらし団子と酒饅頭。和菓子には日本茶が一番という私の主張を聞き入れ、緑茶にも興味を持ち始めたようだ。しかしお茶器が揃わないからティーカップで緑茶なんて邪道な行為はそのうち止めさせたいと思う。でもあの人の趣味は和風よりも洋風でアンティーク系が好み。だがティーカップで緑茶は何か納得できない。湯のみの購入を虎視眈々と狙いつつ、せめてマグカップにまで妥協して欲しいと思っている。
変なところでこだわりを見せると思いつつ、じゅわわわわ、と油の跳ねる音に心持距離を取った。油怖い。
浮き上がる衣のついた豚が狐色になるまで待って、ほどよく色づいたら油から引き上げて網の上へ。油を落として熱々の時にサクサク、と衣の音を立てながら包丁で一口大に切り分け、ご飯の上へ。
それから上にたっぷりのカレールーを乗せて、ことりとテーブルの上に置いた。銀色のやたらと細かい細工のされたスプーンを並べて、グラスには水をいれる。氷はどうしようか、と思って問いかければなくていいとのことなのでいれない方向で。
更に脇にはサラダをおいて、ドレッシングは市販のものだがまぁいいか。
「お口に合えばいいんですけど・・・」
「フッフッ、・・・いや、美味そうだ」
今日のメニューはカツカレーって奴ですが、なんていうか、果たしてこの巨体の胃袋を満たすだけの量があるかどうか。もっさぁ、とど派手なピンクの羽毛?を着込んだ、やっぱりど派手且つ長身の男を首が天を向くほど見上げながら、フッフッフ、と面白そうに笑う口元を見つめる。
ていうかあの羽の上着は邪魔ではないだろうか。カレーとかついたらどうしよう。私のせいじゃないよって言って聞いてもらえるのかな。そんなことを思いながら、カツカレーを口に運ぶピンク男・・・突如船にやってきてジュラキュールさんは所用で遅くなるという伝言を伝えてくれて、何故かそのまま居座り晩御飯を所望しやがった不審者、もといジュラキュールさんと同じ王下七武海とかいう大層な肩書きを持つ海賊らしいドンキホーテ・ドフラミンゴという男は、さくっとカツを歯で噛み千切りながら、一言呟いた。
「割と美味いな」
「ありがとうございます?」
割とって褒め言葉なのか?・・・まぁ、なんか見た目からして舌が肥えてそうな相手に割とでも「美味い」という評価が頂けたのだから上出来じゃないか?ドンキホーテっていうと某激安店が思い浮かぶわぁ、とか思いながら、いや、なんか、店じゃねぇけど、なんか、と歯切れの悪い言い方で、パクパクを口に運ぶドンキホーテさんはあっという間にお皿を空にして、それから、ずいっとその皿を突き出してきた。・・・・ん?
「おかわり」
「わかりました」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ジュラキュールさんの分、余るかなぁ。カレー皿にカレーをよそいつつ、割りと旺盛な食欲に、炊いたお米とかが足りるのかが不安に思った。だって、客の分なんて想定外だよ・・・。ていうか客でいいのかすら不明だけど・・・・海賊?なんだよねぇ?普通に船にあがっちゃったけど(上げたっていうより、勝手に上がってきたといった方が的確だ)、大丈夫なんだろうか?と首を捻る。
とりあえず、今か今かとカレーを待っている分には、無害そうではあるんだけどなぁ。
このサイトも五周年を迎えるんですよねー。四周年がついこの間のことのように思うのに、なんてこった。
しかし特にお祝いイベントが思いつかないので、今回はスルーしようかしらと思ったり?いやでも五周年をスルーとか寂しいか。
かといってリクエスト企画は自分の首絞めるので・・・ひとまず今あるリクエストを書き終えなくては次のリクエストなど受け付ける資格はない!と思うのでリクエスト系は今回はなしかなー。
となると何かまた一本書くとか、短期集中型連載とか、そんな形になるのかなー。いやでも気力が・・・。
短編書くにしても、何書けばいいのやら。お祝いにもならんネタしかないぞ。
と、考えつつ土壇場まで何もしないか土壇場で諦めるかのどっちかになりそうです。
時期が時期だし、見送りもありかなって思いますけど。
はてさて、そんなことも頭捻らせつつ、落書き投下ー。
続きから夢絵です。夢主がいるので苦手な方は注意!
ドンキホーテ・ドフラミンゴと鷹の目のミホークは、実を言うとさほど仲が悪いわけではなかった。無論、決して良好と言えるような仲でもなかったが、かといってギスギスと剣呑な空気を撒き散らかすほど不仲でもなく、辺り障りない関係を維持している。
恐らくは互いに強い関心を抱かないからこその淡々とした関係なのだろうが、互いに嫌いあっているわけではないので、ドフラミンゴは実に気軽い調子でミホークに誘いをかけた。
いい酒があるんだが、飲まないか?
互いに酒は嫌いではないし、むしろ酒豪といっていいほどに好んでいる。酒の趣味もそれなりに合っているし、基本的にお互い暇は暇だ。酒の席の誘いを断ることは実はあまりなく、今回とてしばしの逡巡の後には頷くだろうとすら思っていた。だが、鷹の目のミホークはドフラミンゴを一瞥すると、素っ気無い口調で一言、答えた。
「断る」
「・・・珍しいじゃねぇか、鷹の目。何か用でもあるのか?」
予想外にも拒否の返事にサングラス越しに意外に思いながら、ドフラミンゴはフッフッフッフ、と笑みを浮かべた。別に断られたからと何を感じるでもないが、半ば義務めいた様子での問いかけに、鷹の目は珍しくも少しの沈黙の後、今日は、と口を開いた。まさか答えが返ってくるなど思わずに、ドフラミンゴの目が軽く見開かれる。サングラス越しではあるので、実際周りからその様子が見えることはなかったものの、それでも内心の驚きを誤魔化すようにん?と促せば、鷹の目はぽつりと口を開いた。
「夕飯がオムライスだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
至極、真面目な顔で。いや、真顔というべきか。いつものような、いっそ睨んでいるのではないかというような迫力のある顔で。・・・・・・・・・今、なに言いやがったこの男?
ポカン、と世界一の大剣豪と名高い男の口から出てきたとは思えないやけにファンシーな言葉に、ドフラミンゴの顔が崩れる。オムライス・・・?
「オムライス、なのか」
「あぁ。ふわふわとろとろに挑戦するらしい」
「ふわふわとろとろ・・・」
「話はそれだけか?なら私は帰るぞ」
だから真顔で何いってんのこの男。男の口から出るにはあまりにミスマッチな単語の羅列に、いつもの笑みを出すことさえ忘れ、颯爽と踵を返した背中を思わず見送り、ドフラミンゴはその背中が見えなくなったところで、わなわなと肩を震わせた。
「フ、フッフッフッフ・・・・・・・・・・・・・面白いじゃねぇか、鷹の目」
誰だ、あいつにオムライスなんつーものを作っている奴は。
引かれた興味に、にぃ、とつりあがる口角は、何を示していたのか。フッフッフッフ、と独特の笑みを廊下に響かせながら、ドフラミンゴは電伝虫のダイヤルと、くるくると回したのだった。
今日の更新
◎水鏡の花 水夢の花編にin海賊 地底ワァルド編「RPGは見る専門のはずでした」アップ。