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図らずとも。

携帯獣のお話で傍観主のデフォ名とゲームの♀主とのデフォ名が同じですねー!というコメントでそういえば、と思い至りました。
微妙な発音の違いはあるのですけども、読みとしてはほぼ同じですね。
傍観主のデフォ名は「トオコ」で、ゲーム♀主は「トウコ」なので。まぁ本当微々たる違いですが。
しかしながらあくまで傍観主は名前変換が可能な夢主・・・夢主?なので名前ネタは無理な事実。一応変換前提で進めていますので(でも多分あんまり変換されてない気がする)、同名ネタは諦めてくださいまし・・・!
仮にいたとしたら多分・・・傍観主がプリ世界に帰還後になりそうな?ちなみに帰ること前提ですけども、あの話、傍観主が落ち着くまでしか書く予定がないのでなんとも言い難いですね。
帰還ネタはあるけども、どこまで書けばいいのやら。


てかノボシャンが読みたいです先生。ノボシャンが読みたいよ・・・!漫画が見たいよ・・・!
ネタはある!妄想もしてる!しかし文章に起こせるだけの自信がない!
しかもネタといっても色々迷ってるんですよ。ヒトモシの頃からの関係か、シャンデラからの関係か。ヒトモシの頃からでも美味しいですし、マジ淑女なシャンデラからでも美味しいんですよ。
あぁもうどっちがいいかなぁ!誰かネタの吐き出しというと設定つくりに付き合って!

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更新

今日の更新

◎水鏡の花 水宴の花編に携帯獣BWアップ。(日記再録含)





〔つづきはこちら〕

「わたしと たまごと しろくろふたご2」

 寝かされていた部屋から外に出て、通路を歩くことしばし。職員用の通路だったのか、かつんかつんと靴音を反響させる人気のない道を抜けると、僅かに光が漏れいるドアが目の前に現れる。閉じられたドアをノボリさんがあけると、一気にざわめきが周囲を満たし、まるで別世界にでも入ったかのような錯覚を覚えてぱちりと瞬いた。いやまぁ実際別世界にいるんだろうけども。
 明るい電灯の下で、いくつかの電車と線路、電光掲示板が視界に飛び込む。人のざわめきや話し声、アナウンスの声が鼓膜を震わせると、風を起こしてホームに停止する駅や、自動ドアを閉じて出発する電車の音も混ざって賑やかしい。
 時計を見ながら電車を待つ人や、速足にホームを抜けていくサラリーマンが目の前をかけていく。
 その光景に、思わずふへぇ、と声を漏らした。・・・人、多いな。久しぶりに、こんな光景をみたような気がする。
 基本的に学園の外に出ることはないし・・出てもバイトとかの往復だしそれにしたって電車を使うような距離ではないので、人が電車を待つ、という行為は久しぶりに見た気がした。あんまり出歩かないし遠出もしないからな、私。
 しかし、なるほど。地下鉄だったのか、ここ。普通の駅かと思いきや地下鉄か・・・そういえばこの二人もサブウェイなんちゃらとか名乗ってたな。サブウェイ、って、確か地下鉄、とかいう意味だったと記憶している。最初はピンとこなかったが、こうして現場と照らし合わせると理解もできるもんだ。そもそもサブウェイよりもメトロとかの方が多分こっちではよく聞く単語だろうしな。サブウェイだと別のものが日本では連想されるよ。
 ・・・でもまぁ、なんか、見慣れた駅、のような、むしろ向こうの駅よりもこっちの方がなんだか近未来的というか・・・。やっぱりどこか違う。そう思いながら物珍しくきょろきょろと辺りを見回していると、ぬっとピエロ染みた笑顔が視界に入り、思わずひっと喉をひきつらせた。ちょ、開き気味の瞳孔超こえぇ!!

「あは、トオコすっごく珍しそう。トオコは地下鉄初めて?」
「いえ、初めてでは・・・でもここまで大きな規模のものはあまり見たことはありませんね」
「ほう、トオコ様はここ以外の地下鉄もご存じで?」

 何に興味を惹かれたのか。相変わらず下がった口角でちっとも笑顔なんぞ見せないのに、声だけは妙に明るく弾んだ調子で、無表情なのに興味津々、という矛盾を隠しもしないノボリさんに、器用な人だな、と思いながら私はあいまいに言葉を濁した。

「え、あぁ、まぁ。・・・それよりも、このたまごを預ける場所などはないでしょうか?」

 あまり、自分のことは話さない方がいいだろうか。下手なこと言って対処しきれないことになっても困るし・・・。隠すようなことではない、と思いつつも、話したところで望む対応が得られる可能性も低いことに、思わずため息が零れそうになった。・・・送還術に巻き込まれて見知らぬところにいたんです、とかそれどんな厨二病?ってもんだ。現実と妄想は区別するように、と痛いものを見る目で見られても仕方ないだろう。そんな目線は御免被る。事実なだけに歯がゆいし。
 それでもここで溜息なんて吐いたら感じ悪そうだし、ぐっと堪えて流れ上、ずっと抱えている他なかったたまごを撫でて背の高い二人を見上げると、ノボリさんはあぁ、とぐっと山形になった口元で一つ頷いた。

「それでは、案内所に。職員に預ければ問題ないでしょう」
「トオコ、気絶しててもそれずっと抱き抱えてた。大事なんだね」
「大事といいますか・・・自分のものではないので、乱暴に扱うわけにも」
「え?」

 まぁでもたまごなんだから、元より雑に扱う気にはなれないが。よいしょ、とカーディガンにくるまったままのそれを抱き直すと、クダリさんは笑顔のままきょとんとした顔をした。

「それ、トオコのたまごじゃないの?」
「違いますよ。これは・・・拾ったんです」
「たまごの遺失物もないわけではありませんが、珍しいですね」

 ・・・・・・・ん?

「・・・たまごの落し物が、あるんですか?」
「あるよ。みんなよくここで孵化させる!」
「え?ここで?」
「それでも早々にたまごを落とすことなどないのですが・・・トレーナーの方も探していらっしゃるかもしれません。預けに参りましょう」
「え?いや、え?」

 待って。すごいナチュラルに言ってるけど可笑しくない?内容可笑しくない?だってたまごだよ?買い物帰りにうっかり買い物袋ごと電車に置き忘れちゃった☆ってレベルの問題じゃないよ。だってこんなに大きいよ?てかさっきのクダリさんの発言も可笑しいよ。駅で孵化ってどういうことだ。よくしてるってなんだ。ここで四六時中温めてるの?いいの?ねぇそれいいの?迷惑行為にならないの?許可してるの?ここ駅だよね?一般公共施設だよね?どういう施設なの!?
 溢れんばかりの疑問が脳内を埋め尽くすのに、それがさも当然で、一般的で常識的なことだとばかりに平然としている二人に、その疑問をぶつけることは何か墓穴を掘りそうで怖くて言えない。じゃぁこっちだね!と元気よく歩き出すクダリさんの後に続いてノボリさんがピンと背筋を伸ばしてついていく、その後ろ姿を眺めて、私は俯いて眉間に指を押し当てた。

「・・・やばい・・私の常識が通じない世界なのか・・・?」

 益々迂闊な発言ができないわけだが、最早何が地雷なのかの検討すらつかない。マジで、どういう世界なんだ、ここ。
 立ち止まって唸る私に、いくらか先を進んでいたクダリさんが立ち止まり、心配そうに声をかけてきた。

「トオコ様?いかがなさいました?やはり、まだ体調が・・・」
「あ、いえ。大丈夫です、えっと、たまごを落とすなんてその人もきっと今頃慌ててるんだろうなって。」
「ですが・・・クダリ!」
「なぁに?ノボリ」

 顔が仏頂面なのに心配してるのがわかるってどういうことだこれ。そう思いつつ、心配させるのは本意ではないので、慌てて言い繕うと、ノボリさんは浮かない顔をして、先を歩いてたクダリさんと呼び止めた。
 クダリさんは素直に、小首を傾げながらこちらに近づいてくる。

「クダリ、あなたはこのたまごを案内所に届けてくださいまし。わたくしたちは一足先に病院に向かいます」
「うん、わかった」
「ではトオコ様、行きましょう」
「いや、そんなに急いで病院に行かなくても大丈夫ですよ?」

 私の腕からするりとたまごを抜き取り、クダリさんに丁寧に渡すノボリさんにおろおろとたまごと彼を見比べる。
 ちょっと項垂れてた程度でそんな心配することはないんだが、と困惑の眼差しを送れば、クダリさんはたまごを抱えてにこ、と目を細めた。

「ノボリの心配、当然。今は平気そうでも、何が起こるかわからない。早めにお医者さんに診て貰うこと、とっても大事。たまごのことなら任せて」
「でも・・」
「クダリの言うとおりにございます。何かがあってからでは遅いですから。早急に診て頂くべきかと」
「・・・そう、ですね。わかりました。お手数をおかけします」
「気にしないで。元はといえばこっちのせい。じゃぁノボリ、ちゃんとトオコ送ってあげてね!」
「勿論でございます。さぁ、トオコ様、参りましょう」

 正論すぎて反論もできない。自分が倒れていた状況が分からない分、余計に何も言えなくて、私はノボリさんに背中を押されて促されるまま、ちらりとクダリさんを振り返った。
 クダリさんはニコニコと笑顔で片手を振ってきて、まぁ、この駅の職員さんなんだし、彼にたまご預けるのが一番いいことなんだよな、と思い直して私は小さく会釈をすると前に向き直った。自分的にはなんら体調に問題はないと感じているのに、いくらか駅側の不手際?があったとはいえここまで気を配られるとなんとも居心地が悪い。まぁ、でも実際本人は無自覚で、という事例もないわけじゃないので、念のため、早めに、というのも実に納得のできる事柄だ。
 しかしそもそも巻き込まれたかどうかすらあやふやなんだが。てかマジで、どういう状況だったんだろう?これは一度ちゃんと聞くべきか。
 というかお仕事いいのかな、この人。クダリさんもだけど。そういえば駅員にしては恰好派手なんだけど、なんか役職があるんじゃないの?お偉いさん?よくわからないが、このまま付き添わせていいものだろうか、とちらりと思ったが、そもそも二人が率先して行動しているので、多分問題はないのだろう、と思い直す。何かあるなら他の人に任せるんだろうし。制服についてはもしかしてこれがここの標準なのかもしれないし。・・・・・・・・・こんな派手な駅員がそこかしこにいたら嫌だけどな。それも慣れというものか、と小さく息を吐いて、地下鉄の出入り口にあたる長い階段を見上げた。
 ・・・さて、この外の世界は、どういう世界なんだろうなぁ。




「わたしと たまごと しろくろふたご」

 目を開けたら見知らぬ天井がありました。・・・・・あー・・・。ぼんやりとその見覚えのない少々薄暗い気もする電燈を見つめつつ、朦朧とする頭を正気に戻すように、横たわっていたソファからむくりと体を起こした。その拍子に親切にも誰かがかけておいてくれたのだろう、薄手の毛布がずるりと滑り落ちたので、完全に床に落ち切らないように引き寄せて、改めて周囲を見回した。
 強烈な光を前にして、ただ目が眩んでいたのか、それとも気を失っていたのか。どちらかは定かではない。けれど、横たわっていたということは多分意識を失っていたのだろう。ベッドではなくソファである辺り、ここが誰かの自宅、自室であるという可能性は低そうだ。見える範囲の部屋の様子はパイプ椅子に業務的な机、液晶テレビに振り返った奥には流し台と電子レンジ、それから冷蔵庫とコーヒーメイカーという簡易的な給湯室。
 狭い、とは言わないが広い、とも言いきれない空間でそれだけのものが犇めき合っているのだから、どちらかというとこれは個人宅ではなくてどこぞの仕事場の休憩室、みたいなところだろうか?
 
 
 職場・・・・?え。私どこぞの職場にきちゃったの?うわぁ、しかも気絶とか迷惑も甚だしい・・・いや原因は私ではないが、事を起こしているのは自分なのでうわぁ、という気持ちを隠せないまま項垂れ、ついではっとしたように顔をあげた。

「たまご!」

 咄嗟に声をあげ、視線を動かせば、先ほどはスルーしていた机の上に、私のカーディガンに包まれたたまごが静かに鎮座している。割れた様子もなく無事な姿にほっと安堵の息をついて、ソファから足を下ろすと、そろそろとたまごに向かって足を向けた。・・・ここがどこだか知らないが、私が知っているのはこのたまごだけである。そして、学園長の言葉を信用するのならば、恐らくここはこのたまごがあった元の世界、のはずだ。まったく別次元だったり予想を外して別にどこにも移動していないのならばいいのだが、まぁ。見知らぬ場所にいることは確定的なので、私は不安な気持ちを押し殺すようにそっとたまごに手を伸ばし、そろそろと抱きしめた。
 なんとなく、抱きしめていると落ち着くのは抱きかかえるのに丁度いいサイズだから、それともこれが生きているからか。多分有精卵っぽいよな、と思いながらたまごを撫でて、私はさて、どうしよう、と首を捻った。

「・・部屋の様子からみるに、文化レベルはあんまり違いはなさそうだけど・・・」

 少なくとも古き良き日本みたいな感じではない。それだけでもほっとしつつ、いやいっそそれぐらい遡ったほうが楽だったのかしら、と思わないでもなかったが、どちらにしろ面倒には違いないので私はため息を零す。
 人に合っていないからどうとも反応ができないのがもどかしいが、かといって見知らぬ場所でいきなり外に飛び出るのは危険すぎる。冷静に、冷静に。だいじょうぶ、初めてじゃないんだし。悲しいことに。
 幾度、いや幾度もあることじゃないんだけど、それでも何度かこういうことはあったのだから、取り乱さずに冷静に。状況分析に努めるのだ。自分に必死に言い聞かせながら、もう一度ソファに戻ってゆっくりと腰かけた。
 まぁ、いきなり未確認生物が跋扈するジャングルに放り出されなかっただけでもマシと思わなければ。うん。あのヒエラルキーの底辺三角形の最下層に位置していた決死のサバイバルでないだけマシと思え。
 こうやって座ってのんびりと考察できるのだから、恵まれてるよ、私。生まれ変わったわけでもないんだし!

「あぁでも意味わかんない・・・」

 何故に巻き込まれた自分。そもそも学園長がうっかり呪文唱えたりするから!ていうかあんなのであっさり発動するのもどうなの!てかたまご限定なんだから私すり抜けてたまごだけ返せよ!なんで私まで道連れにするんだよ!日向先生なんて保健委員会みたいに不運に巻き込まれて苦労すればいいんだ・・・!
 ふつふつとわき起こる不満を押し殺しながら、しかし現状、この部屋で読み取れるものなどたかが知れている。テレビを勝手につけるのはやはり気後れするので一番の情報源だとしても手が出せず、じっと黒い画面を凝視して結局人がくるまでわからないままなのかなぁ、とどさ、と背もたれに背中を預けると、しばらくして部屋の外に続くであろうドアの向こう側が、にわかに騒がしさを訴え始めた。話し声と、足音。近づく複数の人の気配に、背もたれによりかかっていた体を起こして少しだけソファの上を移動した。端によって、ドアからの距離をほんの少しだが稼いで、気配を探るように意識を向けながら、きゅっとたまごを抱く腕に力を込めた。
 半ば反射的な緊張だが、相手が何者かもわからないので、致し方ない。ドアを注意深くみていると、やがて話し声とともに、割と勢いよくドアが開いた。もうちょっと大人しくは開けれんのか。小さな突込みは胸の内だけですませて、部屋に入ってきた人影に、私はぴくり、と眉間に皺を寄せた。・・・・うん?

「あ、目が覚めてる!ノボリ、あの子起きてるよ!」
「少し静かになさいまし、クダリ。相手の方が驚いておられます」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・派手だな、色々と。部屋に飛び込んできた白、そのあとから続く黒。なんだか色こそモノトーンだが、形がいささか奇抜なコートに身を包み、全く同じ顔をした、しかしまったく違う表情をした双子が足音も荒く近づいてきた。正確にいえばドタバタと忙しない足音なのは白い方の人で、黒い方の人は割と静かに近づいてきているのだけれど。そんな見知らぬ双子を眺めつつ、思わず視線が向かうのは開き気味の動向でも不自然なまでに吊り上った口角でも下がった口角でもなくて、顔の横のやたら鋭角的なもみあげである。・・・どういう形・・・?
 ていうかあれはもみあげ?もみあげなの?なんか、うん。武器にできそうな感じでとっても鋭い。堅そうだな、とかどうでもいいことを考えていると、白い方のお兄さんが、ソファの端に腰掛ける私の前にずいっと顔を近づけて満面の笑みを浮かべた。まぁもともと笑顔だったけど。

「ね、もう大丈夫?痛いところない?」
「え?えっと・・・はい。特に問題は」
「そっか、よかった。ホームで倒れてるんだもん。ぼくとっても心配した!」
「ホーム?・・・すみません、ご迷惑をおかけしたようで・・・」
「いえ、こちらこそお客様を巻き込んでしまい申し訳ございません。此度の不始末、ギアステーション一同心よりお詫び申し上げます」

 テンション高い上に、見た目に反してどうにも幼い口調の男性に困惑しつつも、面倒をかけたことを謝罪すれば、むっつりと仏頂面で黙っていた黒い方の男性が、きっかり九十度腰を曲げてやたら丁寧な口調で逆に謝ってくる始末。
 事情が呑み込めず(知らない単語が出たな・・ギアステーション?)疑問符を浮かべながら、きっちりと下げられた頭に狼狽えて視線を泳がせた。

「いえ、そんな・・すみません、私、今どうなっているのかよくわからなくて・・・」

 謝ってくる理由もここがどこなのかもさっぱりなのだ。どういう反応が正しいかもわからず、困ったように眉を下げると、白い方の男性がやっぱり口角を持ち上げたままこてん、と小首を傾げた。いい年した成人男性のように見えるのになぜかその仕草に違和感を覚えないのは、彼が持つ雰囲気のせいだろうか。

「覚えてない?君、駅のホームでトレーナーのバトルに巻き込まれて気絶してた」
「バト・・・!?え、なんですかそれ」
「こちらの管理不行き届きにございます。ただバトルするだけならいざ知らず、他のお客様を巻き込んでしまうとは・・・誠に申し訳ございません」

 え、なにその不吉な単語!ここ物騒な世界なわけ!?バトルとかどうとうか、全うに生きていればまずあまりきかないような単語に、しかも駅のホームで起こるとか?なにそれ超危ない。それに巻き込まれたという解釈はいまいちわからないが、どうやら私のポジションはそのバトルに巻き込まれた被害者?のようである。
 そしてここが駅の・・恐らく職員の休憩室かなんかそういう部屋だということをおぼろげに察して、はぁ、と曖昧な返事を返した。

「もう、最近のトレーナーマナーがなってない!ここでバトルしていいのは電車の中だけ!」
「確かに、最近のトレーナーの中には目に余る行為をされる方が増えていらっしゃいますね。こちらもなんらかの対策を取らなければ・・・」

 いや電車の中もダメだろ。人が密集してない外でやれよ、あるいはそういう専門の施設でやれよ。駅でなんのバトルか知らないが、やらかしちゃだめだろ。なにかずれた発言をしているお兄さん方にひっそりと突込みをいれて、とりあえず物騒そうな世界、という認識で私は眉間を解すように指を添えた。うむ。さっぱりわからんぞ。
 ぷんぷん、と擬音が似合いそうな頬の膨らませ方で怒っているお兄さんに、至極真面目な顔で同意をしている黒いお兄さんは、それはそうと、と話を切り替えるようにどこか威圧的な・・・隣が常に笑顔な分嫌でも目に付く無表情と、やっぱり開き気味の瞳孔で見下ろしてきて、ひっと思わず肩をすくめた。帽子の影も相まって怖いんですけどお兄さん・・・!

「目が覚めましたら、是非にも病院に。見たところ外傷はないようですが、バトルに巻き込まれたのですから検査は必要かと」
「え?あ、でも・・・」
「大丈夫!お金ならこっちが出す。今回のこと、トレーナーとぼくたちのせい!だから安心して?」
「そうでございます。貴女様は何もお気になさらず、病院で検査を受けてくださいまし。もしものことがありましたら大変にございますから」
「はぁ、何から何までありがとうございます・・・?」

 まぁ、バトルに巻き込まれたとかどうとかははっきりいって不明なわけだが、代金も向こうが支払うって言ってるんだし?外にも出れるし、こうなればきっとどんな物騒な世界だとしてもきっと安全は保障してくれるんだろうし?
 状況把握のためにも、ここは逆らわずに流れに身を任せた方が吉、かな。断ってもなんかゴリ押ししてきそうな気がしないでもないし・・・。とりあえず、向こうがなんか勝手に色々進めてるんだから、一旦それに任せて、現状が理解できるまでは無難に沈黙を守っていた方がよさそうだ。・・・理解できんのかな?これ。
 とりあえず今出てきた単語の中でも、やっぱり自分のいたところとは違うっぽいな、と諦めのため息を零すと、白い方のお兄さんが、そうだ!と声を弾ませてずい、と顔を近づけてきた、 
その近さに咄嗟に体をのけぞらせると、お兄さんはなんかもう常に笑顔すぎて怖いというほかない笑顔で、楽しげに口を開いた。

「君の名前、まだ聞いてない!教えて?」
「あ、そうですね。名乗らずにすみません。私は中村透子と申します」
「トオコだね!ぼくクダリ。サブウェイマスターしてる!」
「同じく、わたくしサブウェイマスターのノボリと申します。トオコ様、動けるようでしたらわたくし共と病院に向かいましょう」

 楽しげに自己紹介をする二人に、サブウェイマスターとはなんぞや?なんて聞ける空気でもなく。かといってノボリとクダリとかまた変わった名前だなぁ、なんて失礼なこと言えるはずもなく。
 とりあえず、白い方がクダリさんで、黒い方がノボリさんなんだな、とまるでいつぞやの変装名人と大ざっぱな先輩を思い出しつつ、まぁでも表情が真逆だからわかりやすいよな、と私は曖昧な笑顔で、差し出されたノボリさんの手を取った。
 ・・・・・・・・そういえば保険証とか身分証も何も持っていない状態だが、大丈夫なのかな?ここがどういった世界かはわからないが、身分を証明できるものはこの世界に何一つとして存在していないだろうことに、一抹の不安がよぎった。・・・・それに、このたまご、どうしようかな。抱きかかえたままのたまごの処遇も頭を悩ませつつ、わが身に起こった一大事に、ガンガンを頭が痛む思いで、もう一度、ひっそりとため息を零した。





〔つづきはこちら〕

「わたしと たまごと まほうじん」

誕生日のコメント送ってくださった方ありがとうございます。何歳になってもおめでとうの言葉は嬉しいものですね。
レスで返すと時期外れもいいところになりそうなので、とりあえず誕生日コメにだけはここで!
ありがとうございます!


さて更新がまったくできていないのでリハビリがてら小噺を投下です。
utpr傍観主 in ???
とりあえず学園長贔屓なこのサイトどうにかするべき。小話の相手が基本学園長なんだけどどうなのそれ。
さておき、どんな世界に行くのかは待て次回、で。・・・あるのかな?次回・・・。
こーいうのって、日記じゃなくて普通にアップするべき?いやでも続かせる自信がないからな・・。
お試し兼発散場所がここなのでぶつ切りでも唐突に始まって唐突に終わっても大目にみてくださいませ。

〔つづきはこちら〕

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